MotoGP第13戦:ウエットコンディションのなか、中上貴晶が2戦連続のフロントロウを獲得。ポールはP.エスパルガロ

 MotoGP第13戦ヨーロッパGPの予選がスペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が2020年シーズン2度目のポールポジションを獲得。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は3番手で、2戦連続のフロントロウを獲得した。
 

 フリー走行3回目はところどころ青空がのぞくものの、路面状況としては前日同様にウエット。気温は16度、路面温度17度のなかで始まった。こうしたコンディションにより、すべてのライダーがレインタイヤを履いてコースイン。

 また、このセッションからバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が出走。ロッシは2度目のPCR検査の結果を待つために初日セッションに出走しなかったが、連続して2回のPCR検査で陰性が確認され、3戦ぶりの復帰となった。

 ウエットコンディションのために、ドライとウエットのミックスコンディションとなった前日のフリー走行2回目よりもタイムは伸びない状況だ。セッション中盤を迎え、トップタイムはヨハン・ザルコ(エスポンソラーマ・レーシング)の1分41秒113。次第にコース上には陽が射し始めるが、残り時間20分を切ってもレインタイヤでの走行が続く。

 セッションはそのままザルコがトップタイムで終えた。2番手はマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。ビニャーレスは前日より6基目のエンジンを投入していることから決勝レースをピットレーンスタートとなるが、加えてビニャーレスのチームクルーにひとりがPCR検査で陽性となり、このため感染の可能性がある4名のチームスタッフは検疫措置に入ることがチームにより発表されている。この4名にはモンスターエナジー・ヤマハMotoGPのチームディレクターであるマッシモ・メレガリも含まれているという。

2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

 3番手は中上、4番手はフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)、5番手はカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)だった。ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は10番手、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)は初日から厳しい状況が続いており、19番手。ロッシを除くすべてのライダーは前日のタイムを更新することはなかった。

 フリー走行4回目前に行われた、Moto3クラスの予選では再び雨が落ち、路面はフルウエットとなった。MotoGPクラスのフリー走行4回目を迎えるころには雨が上がり、再び陽が射す天候となったものの、路面は回復しないまま。

 トップタイムでセッションを終えたのはミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)、2番手はジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)で、3番手にはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)とフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)のドゥカティ勢が続き、5番手はフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)だった。

 中上は10番手。ビニャーレスは5コーナーで転倒を喫したが再び走行を行い、13番手。クアルタラロは18番手のタイムだった。

■P.エスパルガロがポール獲得。中上は3番手

 予選Q1は気温20度、路面温度22度。天候はかなり回復したが、路面状況はいまだウエットのまま始まった。決勝レースでピットレーンスタートが確定しているビニャーレスは、タイミングを遅らせてコースイン。その間にオリベイラがトップ、ステファン・ブラドル(レプソル・ホンダ・チーム)が2番手につける。

 後半のアタックで、オリベイラは自身のタイムをさらに更新してトップをキープ。2番手にはバニャイアが浮上するが、そのタイムをブラドルが上回り、2番手を奪還。そしてセッション終盤、ザルコがオリベイラのトップタイムには0.05秒及ばなかったものの2番手に浮上し、オリベイラとザルコがこのセッションをトップ2で終え、Q2に進出した。

 アレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は14番手、予選日からヨーロッパGPに参戦しているバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は18番手だった。

 Q2が始まるころになると、走行ラインは路面が乾き出している様子が見受けられるようになる。しかしスリックタイヤを履くほど路面は回復しておらず、ライダーたちはレインタイヤで出走した。

 前半のアタックではミルがまずトップタイムをマーク。その後すぐに、中上、モルビデリがミルのタイムを更新し、さらにアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が1分41秒254を記録してトップに立つ。

 中上は後半のアタックに入ると、1分40秒530を叩き出してトップを奪還。残り時間3分を切って、ミラーが2番手、ミルが3番手。クアルタラロは予選でも苦戦を強いられ、11番手という状況。

 残り時間2分、リンスが中上のタイムを0.005秒更新して再びトップに立つ。2番手につけていた中上は14コーナーでクラッシュを喫するが、再び走行に加わった。

 さらに残り時間が1分を切ったところでP.エスパルガロが1分40秒434を叩き出し、トップに浮上する。P.エスパルガロはこのままトップをキープし、ウエットコンディションのなかで2020年シーズン2度目のポールポジションを獲得した。

 2番手はリンスで、今季ベストグリッドを獲得。中上は終盤の転倒により最後にタイムを更新できなかったものの、3番手を守り、2戦連続でフロントロウに並んだ。

 4番手は最後のアタックでタイムを伸ばしたザルコ。ミルは5番手で2列目に並ぶ。一方、クアルタラロは終始上位に浮上できず、まさかの11番手。4列目から決勝レースを迎えることになった。

 翌日の決勝レースはドライコンディションが見込まれているが、ここまでスリックタイヤで走行したのは、完全なドライでも完全なウエットでもないダンプコンディションだった初日のフリー走行2回目のみ、という状況である。決勝日午前中のウオームアップセッションが重要になるだろう。

2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP ポル・エスパルガロがポールポジションを獲得。2番手:アレックス・リンス、3番手:中上貴晶
2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP ポル・エスパルガロ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)
2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

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