大手メディアがまったく伝えない「トランプ氏の良いところ」

 米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、アメリカの大手メディアがまったく伝えないトランプ氏の良い部分を、保守系メディアではどう報道されているかを紹介しよう。

保守派を魅了する「子供たちに優しく、遊び心のある」トランプ氏の横顔

 大手メディアの報道だけを見ると、「アメリカ人の大半がトランプ氏の弾劾を求めている」かのように思えるだろう。しかし、総人口の35%を占める保守派と、同じく35%を占める中道派の多くは、民主党が掲げる極左ともいえる政策(規制緩和と減税政策で経済繁栄をもたらし、不法移民に大学教育と医療を無料提供し、銃を没収する)には反対だ。トランプ氏が「それを食い止めてくれている」と感謝している人は大勢いる。

 保守派とブルーカラー、および中小企業経営者の中道派は、左傾の大手メディアの執拗なトランプ・バッシングに疲れ果て、社会主義反対を表明している『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙や、保守系の『ワシントン・エグザミナー』紙、『ワシントン・タイムズ』紙、米軍の公式サイト、キリスト教徒を対象にした新聞やサイトなどから情報を得ている。これらの情報ソースでは、米大手メディアでは全く報道されていないトランプ氏の業績や人間味溢れる素顔が逐一報道されているからだ。ここ数週間で特に大きく報道された話題をいくつか挙げてみよう。

 2019年10月9日、トランプ氏は規制緩和の一環として、政府の新規制や規制変更に気づかなかった人々が罰せられることを阻止するために、政府が新規則を制定する度に役人が人々に新規則の内容を伝えることを義務づける大統領令を発した。政府の新規制や規制変更に対応するための弁護士を抱えることができない中小企業の経営者たちは、この勅令を大歓迎している。

 10月11日、リトルリーグ・ワールド・シリーズで優勝したルイジアナのチームがホワイトハウスを訪問し、大統領執務室でトランプ氏と歓談。その後、ちょうどルイジアナで集会を開くことになっていたトランプ氏は、彼らを大統領専用機に乗せて送ってあげることにし、集会にも子どもたちを招待してステージに呼んで健闘を称えた。2016年の予備選では、トランプ氏は候補者が集うアイオワ州祭りにヘリコプターで現れ、たまたま近くにいた子どもたちをヘリコプターに乗せて楽しませたが、こういう“素のトランプ”に触れた人々が、友人や知人に”遊び心がある人情深い下町のおじさん”的なトランプ氏の魅力を伝え、それが口コミやツイッターで広がってトランプ人気が定着していると言われている。

教会も崇めるトランプ氏

 2019年10月12日、バリューズ・ボーター・サミット(伝統的価値観を尊重する保守派の集会)で、中絶不支持の尼僧の慈善団体に課せられた罰金を撤廃し、ハリケーンなどの被害にあった教会/モスク/シナゴーグへFEMA連邦緊急事態管理局が資金援助をすることを可能にした等のトランプ氏の業績が称えられ、ブルンソン牧師がトランプ氏のために祈り、トランプ氏も「アメリカは政府ではなく神を崇める」と宣言した。ブルンソン牧師は、オバマ政権時代にトルコでスパイ容疑を掛けられて捕虜になり、オバマ政権から見捨てられたが、トランプ氏がトルコに経済的圧力をかけて交渉を続けた結果、2018年10月に救出された福音派の牧師だ。下記はサミットでの彼の祈りの一部である。

 「神よ、あなたは弾圧が再び台頭するこの時期にトランプ氏を推して統治者としました。主なるイエス・キリストのみが、悪を倒し弱者に正義をもたらす者として彼(トランプ)を選べるのです。彼が絶え間ない戦いに耐えて、活気を失うことのないように、彼に力と勇気をお与えください。」

 リベラル派がどれほどトランプ氏を嫌おうが、彼は経済政策や宗教の自由保護という面で人々が肌で実感できる結果を出しているため、保守派からは敬愛され、多くの中道派からも支持されているのである。

 「そんなことを言われても信じられない」という読者の方々も、クリスチャン・ポスト、クリスチャン・ブロードキャスティング・ニュースなどの記事を読むと、トランプ氏の人間味溢れる横顔が保守派や中道派に紹介されている様子がわかるだろう。ちなみに、私の隣人の家には、星条旗を抱きかかえているトランプ氏の写真が飾られており、その家の女主人は「大統領らしくない無邪気な行動がキュートだ」と言っている。

(2019年10月公開記事)

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