デルタ航空、女性だけのクルーで120人の女子学生をNASAへ

 2019年10月6日、米デルタ航空はパイロットやメカニックなどの全クルーを女性だけで運行させた機体に、120人の女子学生を乗せてヒューストンのNASAへ招待した。その様子を映像に収めた撮影クルーも全員女性という徹底ぶり。その映像リンクも!

パイロットはもちろん、メカニックも搭乗係員も管制官も全員女性!

Photo: Delta Airlines

 米デルタ航空は2019年10月6日の「インターナショナル・ガールズ・イン・アビエーション・デイ」を記念して、ソルトレイク・シティ在住の120人の女子学生(12歳〜18歳)を、女性クルーだけで運行する機体でヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターの見学会に招待した。これは同社が、男性が多い航空業界における女性従業員の地位向上を目指して「航空業界の性別差をなくそう」と、STEMキャリア教育の一環として2015年から開始した恒例の「Delta WING Flight」という試みだ。

Photo: Delta Airlines

 この日は女子生徒たちを乗せた航空機のパイロットや副操縦士はもちろん、フライトアテンダント、搭乗口のエージェント、グラウンドで機体の安全を確認するメカニック、ランプ・エージェント、飛び立つ許可を出す管制塔の管制官まで全員女性が担当した。女性のみの撮影クルーによる、その様子を収めた映像はこちら

宇宙センターで待っていたのは女性宇宙飛行士たち

 今回NASAに招待されたのは、現在STEM教育や航空プログラムを受講中で、「将来は航空宇宙産業に就職したい」と考えている理系女子生徒たち。そして、そんな若者たちをNASAで待っていたのは、女性の宇宙飛行士や技術者たちだ。施設の見学や各仕事の説明はもちろん、アフリカン・アメリカン女性としては初めて宇宙ステーションで勤務したジェネット・エプス宇宙飛行士兼エンジニアと一緒のランチなどの機会も用意された。

Photo: Delta Airlines

 このイベントを企画した米デルタ航空では、フロントラインで働く従業員は性別による給与差がなく、「女性が働きやすい企業ベスト100」にも3年連続で選ばれている。しかし、女性パイロットはパイロット全体の5%しかおらず、性別差をなくす道のりはまだまだ長そうだ。男女差をなくすためには、優秀な女性の人材がたくさん業界に入ることが第一歩と考える同社のこの試み。今回の企画に参加し、「将来この業界で働きたいという思いが強くなった」とコメントしていた多くの女生徒たちが、航空宇宙産業の男女差を埋める起爆剤になるかもしれない。

(2019年10月公開記事)

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