50年前より野鳥が30億羽も減少 2019年の北米調査結果

 世界中で気候や環境が大きく変化している中、北米で過去50年間に野鳥の数が極端に減ったという研究結果が2019年9月に発表された。

牧草地や草原が減り、農薬を撒いた農地拡大が原因

 2019年9月、学術誌『サイエンス』に発表された最新研究の論文で、アメリカとカナダの北米大陸において野鳥の個体数が1970年と比べて29%減少し、数にすると約30億羽も減少していることがわかった。

 この研究は野鳥の「個体数を数えた」最初の試みで、減少の理由については「人間の活動によって生育地が失われたこと」が最大の要因だとされている。また、農薬の使用拡大で昆虫が殺されることで食物連鎖全体が影響を受けていることも指摘された。

身近なスズメたちも減っている

 減少した鳥のうちの90%がスズメ、ムシクイ、黒ドリ、アトリ科の小鳥など12種だという。この論文では北米だけでなく、世界各地で減少傾向があることも指摘されたが、特にここ10年間にアメリカ東部で渡り鳥が急激に減少したこともわかった。

 2019年4月に学術誌『サイエンス・ダイレクト』で発表された研究結果では、世界中に生育する昆虫の約40%が劇的に減少していることがわかったが、その主原因も集中的な農業や殺虫剤の使用、気候変動などだとされている。昆虫が減少すれば、それを食べていた鳥の減少にも直結するため前述の鳥の個体調査結果にもうなずける。また、昆虫の減少に反して、ゴキブリなどの害虫は増加している調査結果も出た。

 このような研究結果が次々と発表される中、具体的な解決策を実施している国はまだ少ない。大人たちに「早く動いてくれ」と訴える世界中の若者たちの声が、各国の具体策の開始を後押しすると期待したい。

(2019年9月公開記事)

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