F1のトラックリミット規則をクビアトが批判「レースの面白さを削いでいる」

 アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトは、前戦エミリア・ロマーニャGPが開催されたイモラ・サーキットでトラックリミット違反により多くのペナルティが出されたことを受けて、「でたらめな」トラックリミット監視が続いているとしてF1の現状に不満をあらわにした。

 トラックリミットに関する議論は、毎シーズン必ず、ほぼすべてのコースで繰り返されている。アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリで行われたF1第13戦エミリア・ロマーニャGPも例外ではなかった。

 土曜のフリー走行中にターン9とターン15における違反で、計60周分のラップタイムが記録から削除された。

 予選前にFIAレースディレクターのマイケル・マシは、ターン9と15におけるトラックリミットを緩和、ターン13に新たな制限を設けることを発表した。その結果、予選では削除されたラップタイムは8周にとどまった。

 クビアトは、トラックリミットとペナルティに関する終わりなき論争は、コースにグラベルを敷設すれば沈静化すると考えている。

「あの白線は不要だ」とクビアトは語った。「昔ながらのグラベルトラップさえあればいい。コースを外れたときには外れた、というだけの話で、やれ『白線を越えた』だの『白線を越えるな』だのといったでたらめはなくなるよ」

「なぜ僕がこれほど頭にくるかといえば、このルールがレースの面白さを削いでいるからだ。それに、素晴らしいコース特性も発揮されにくい。そこが問題なんだ」

 クビアトは、プラクティス終了後に行われたドライバーズブリーフィングでマシに不満をぶつけたという。

「彼にこの件を話したよ。けれど、コースのオーナーたちは、ランオフエリアをおそらく他の目的のためにも活用しなくてはいけない。それは承知している。ムジェロではランオフについてもトラックリミットについても問題は生じなかった。グラベルトラップがあったからだ。単純な話だ」

「あれが最善の対処法だということに異論はないと思うけれど、残念ながらすべてのコースで同じことはできない。だから、より良い解決法を探さなければならないだろうね」

 週末のフリー走行と予選で計8周分の記録を削除されたレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンも、コース上の自然な境界線としてグラベルが好ましいと考えている。

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

「正直に言って、なぜコーナーごとに異なるトラックリミットが存在しているのか僕には理解できない。単にグラベルさえ敷設してくれれば僕たちはそれでいいんだ」とアルボン。

「ドライバーは(トラックリミットを)尊重すべきだと言う人たちもいるだろう。けれど、僕たちはできるだけ速く走ろうとしているし、マシンもそのために作られている。だから僕たちにしてみれば、はみ出して走ることによるリスクや損害は基本的にないと思っている」

「大切なのは、純粋にラップタイムだ。あの白線に近づけば近づくほど、僕たちは速く走ることができる」

「だから、これはそれぞれのコースの問題になってくる。たとえばニュルブルクリンクは、ターン出口に縁石、その直後にグラベルが敷設された見事なコースの典型例だと思う」

「彼らが、MotoGPやバイクレースなども考慮に入れなければならないのは理解できる。だから僕が誰かにやり方を指示できる立場だとは思っていない」

「ただ僕は、おそらくあなたたちもそうだろうけど、やはりラップタイムがあれほど削除されることには不満を感じるし、見苦しいことだと思っている」

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