「黒い雨」検討会 長崎大教授ら参加へ 

 広島原爆の投下直後に降った「黒い雨」を国の援護区域外で浴びた人々による訴訟を巡り、援護区域を見直すための厚生労働省の有識者検討会に、長崎大の教授と客員教授の2人が参加することが9日、関係者への取材で分かった。
 2人は同大原爆後障害医療研究所細胞機能解析部門の永山雄二教授(内分泌学)と、チェルノブイリや福島の原発事故などの研究に携わってきた柴田義貞同大客員教授(放射線疫学)。
 検討会は16日に東京で初会合を開く予定。メンバーは約10人で、他に広島大の鎌田七男名誉教授や日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の木戸季市事務局長らが参加する。
 「黒い雨」を巡っては7月、広島地裁が国の援護対象区域外にいた原告84人全員(死亡者含む)を被爆者と認める判決を出した。国は控訴する一方、地元の意向をくんで区域拡大も視野に検証を始めると表明した。「黒い雨」訴訟と本県の「被爆体験者」訴訟は、いずれも援護区域の線引きの妥当性が争点。今回の検討会の議論が、被爆体験者の救済につながるかも注目される。

© 株式会社長崎新聞社