マイナスをゼロに戻すリフォームとは違い、リノベーションは生活を変え、より良い暮らしをしたいという前向きな思いから生まれる。オーナーはどんな思いでリノベーションしたのか? 彼らのエモーショナルな内面を理解しつつリノベーションの事例を見ると、新たな発見があるかもしれない。
子ども部屋や寝室、トイレまで……部屋ごとに異なるテーマで自由な内装に
既存の新築住宅にはないリノベーションならではの醍醐味といえば、やはりライフスタイルに合わせて間取りや内装を自由に設計できること。Aさんご夫婦もそんな自由度の高いリノベーションを実現しました。
リノベーションをしようと思ったきっかけについて教えてください。
子どもたちが成長するにつれて、個室を与えてあげたいなと思い始めたのがきっかけです。我が家には子どもが3人いるので、3部屋必要なんですが、それぞれに部屋をつくってあげたいね、と夫婦で話し合いました。2019年夏ごろのことです。
リノベーションの際に、お部屋ごとにテーマを決めたとか?
子ども部屋はもちろん、主寝室やトイレなど、部屋ごとにテーマを決めて、内装のカラーや素材を変えました。せっかくリノベーションをするなら、家族みんながワクワクできるような家にしたいなと。
壁紙や床材も個性的で、こだわられた感じが伝わってきます。
自由度が高いことで楽しみももちろん多いんですが、ひとつひとつの決断は結構大変で。かなり時間をかけて真剣に悩みましたね。手間も時間もかかりましたが、子どもたちもそれぞれ自分の部屋に愛着がわいているようなので、こだわってよかったなと思っています。
床の素材はもちろん、グリーンやブルーといった壁紙の色がお部屋ごとに違うのが印象的なA邸。ひと部屋にたくさんの色を使うと雑然とした雰囲気になりがちですが、個室ごとに色や素材を変えるというのはマネしてみたいアイデア。ドアを開けた瞬間のワクワク感だけでなく、それぞれの部屋で過ごすときの気分にまで影響しそうです。
庭を望む広々リビングに自然と家族全員が集まってくる
個室の居心地がよすぎると、家族それぞれが自室に籠ってしまう、なんて心配もでてきそうですね……。
確かに個室は快適ですが、実は家族みんながいちばん気に入っている場所はリビングなんです。今回のリノベーションでは、子ども部屋の数を確保しつつ、LDKを広くするということも重視しました。
子どもたちが成長しても家族で集まれるリビングには、やはり広さにも余裕が必要かもしれませんね。
個室を確保したことでリビングが狭くなることは避けたくて。窮屈な空間でくつろげないなんて残念なので、家族全員で集まっても過ごしやすいリビングにしたかったんです。
A邸ではLDKの広さをしっかり確保することで家族みんなが過ごしやすい空間に。多摩川の土手沿いという絶好のロケーションを活かし、川に面してあるお庭に添ってLDKがつくられた間取りになっています。“庭を望む広いリビング”とはなんとも贅沢。
全体的にすっきりとした印象ですよね。お子様を含めて5人のご家族でお住まいとは思えないほどです。
家族が多いぶんモノも増えてしまうので、収納はしっかり確保したいというのもリノベーションの目的のひとつで。LDK部分には大容量の収納をつくりました。
廊下部分の大きな本棚など、効率的に収納を確保されていますよね。
収納スペースをつくると狭く感じるかなと心配だったんですが、家の中がスッキリして気持ちがいいです。モノが散らかりにくいことで気持ちにも余裕がうまれましたね。
無垢材のフローリングを活かしたインテリアも素敵です。
踏みごたえがしっかりしていることや、はだしでもべた付かないことなど、無垢材フローリングはとても気に入っています。家の中がすっきりと広く感じられるおかげか、せっかく無垢材フローリングにしたならインテリアにこだわりたいという気持ちも出てきました。
無垢材のお手入れについてはいかがですか?
無垢材は手入れが面倒というイメージがありましたが、実際は日々の掃除と、何かをこぼしたときにこまめに拭くくらい。特別な手間はかかっていないですね。
ご夫婦はもちろん、子どもたちもリノベーション後の部屋をとても気に入っているというAさんご家族。将来的に、ふたたびリノベーションをする可能性についても考えているそうです。
今回リノベーションをしてみて、よかったと思うことがたくさんありました。子どもたちが巣立ったら、夫婦それぞれの部屋を持つのもいいなと考えています。趣味用の部屋なんていうのもいいかも、なんて。ライフステージの変化に合わせて、間取りや部屋のテーマを変えていけたら理想的ですね。