バイデン氏 勝利 長崎県内反応 温暖化への姿勢 歓迎

 大激戦の米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にしたとの報道を受け、長崎県内では地球温暖化対策や国際協調路線への転換に期待する声が聞かれた。一方、郵便投票を巡って法廷闘争に踏み切ったトランプ大統領に対しては疑問の声が上がった。
 バイデン氏はトランプ大統領が離脱を決めた温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を明言している。長崎大水産・環境科学総合研究科の松本健一准教授(38)は「気候変動対策や環境政策は期待できる」と歓迎する。米国の温室効果ガスの排出量は中国に次いで世界2位、1人当たりは世界1位だ。バイデン氏は2035年までに電力部門の二酸化炭素(CO2)の排出をなくし、50年には温室効果ガス排出ゼロを掲げている。松本准教授は「簡単ではないが具体策を示して実現してほしい」と注文した。
 現政権の「米国第一」主義は、国際協調路線に転換するとみられる。全国果樹研究連合会かんきつ部会の田中芳秀会長(57)は「トランプ政権が続けば日本の農家に不利な協定を突きつけられかねない」と安堵(あんど)した。長崎市松山町の20代男子大学生も、この4年間は他国への高圧的な政策で「世界が不安定だった」と振り返り、バイデン氏に対しては「日本など同盟国に歩み寄って、しっかり守ってほしい」と求めた。
 一方、長崎市の卸売業の代表取締役(70)は中国にどう対応するか注目する。「トランプ氏の方がより強硬姿勢で、日本経済への好影響を期待していた。バイデン氏で日本経済がどうなるか心配」と語った。
 トランプ氏は投票日を過ぎた郵便投票の集計中止を求め、法廷闘争に打って出ている。島原市上の町の自営業、松坂智子さん(63)は「何でそう言えるのか疑問。法的な証拠があるなら仕方ないが、法律にのっとって勝ち負けを正しく判断してほしい」といさめた。


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