被爆者の証言ビデオ制作 長崎平和推進協が試写会

長崎平和推進協会が制作したビデオの映像=長崎市、長崎原爆資料館ホール

 長崎平和推進協会(横瀬昭幸理事長)は被爆75年事業の一環として、被爆体験講話で活用する被爆者の証言ビデオを制作した。8日、長崎市平野町の長崎原爆資料館ホールで試写会があり、ビデオに登場する被爆者ら関係者約30人が視聴した。
 同協会は長崎を訪れた修学旅行生らを対象に被爆講話を実施しているが、被爆者の高齢化が進む中、近年は健康問題などを理由に、講話を予定していた語り部が急きょ参加できなくなる事例も起きているという。証言ビデオは今後、こうした場合に備えた代替策として活用していく。
 ビデオは計4本で、いずれも長さ約20分。同協会継承部会に所属する語り部の男女各2人を収録した。自身が被爆した場所などを巡りながら、体験を語っていくドキュメンタリータッチの映像。11歳で原爆に遭った同市晴海台町の山脇佳朗さん(86)は、勤務先の工場(爆心地から約500メートル)で爆死した父親の遺体をきょうだい3人で火葬した体験を、浦上川沿いを歩きながら語った。
 試写会を終え、山脇さんは「自分のリアルな証言映像を残してもらい感謝している。他の語り部の映像も、少しずつでいいから拡充していってほしい」と話した。

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