夜間外出禁止直前の無差別テロ @オーストリア・ウィーン【11月5日】 新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ

 新型コロナ感染者が急増する欧州では、各国が再びロックダウン措置を取り始めている。オーストリアでも規制措置の厳格化を開始、11月3日から文化行事などの禁止、飲食店の閉鎖、夜8時から朝6時までの夜間外出禁止が発表された。

 2日は規制措置前の最後の夜となったため、レストランやカフェ、バーに繰り出した人々が市内にあふれていたが、それを狙ったかのように午後8時ごろ無差別テロは起きた。

 ウィーン旧市街、シュヴェーデン・プラッツのレストランやカフェの客を無差別に狙った発砲事件は、イスラム系過激派によるテロ事件と判明、実行犯は、オーストリア国籍を持つ北マケドニア出身の20歳の男で、現場に駆けつけた警察によって射殺された。4日までに負傷者は22人、死者4人を出す惨事となった。犯人は以前イスラム国(IS)に参加を試みて出国したとして、オーストリア国内で禁固刑を受けていた。

 新型コロナの影響によるロックダウンで沈静化していたISがらみの欧州でのテロ事件は、最近フランスなどで再び発生しているが、これまでの大きなテロ被害は西ヨーロッパに集中しており、ウィーンがテロ攻撃の対象となった例はなく、市民はショックを隠せない。

 事件当日は、実行犯は複数で、少なくとも1人が逃走していると見られていたため、一晩中警察のヘリコプターとサイレンの音が街に鳴り響いていた。旧市街地の大部分が封鎖され、地下鉄も運休となったため、自宅に帰れなくなった人は最寄りのホテルやカフェで夜を過ごした。翌日も大掛かりな捜索が続き、政府は市民に外出を極力控えるように呼びかけ、学校も一時閉鎖、新型コロナ規制措置の開始とも重なって、3日のウィーン市内は、まるでゴーストタウンのように静まり返っていた。

 3日夜には、実行犯は1人の確率が非常に高いことが発表され、学校の閉鎖措置は解除されたため、4日現在は市内も平常に戻っているが、犯人の人数についてはまだ断定されていないため、引き続き高レベルの警戒を維持するとしている。

 仕事でパリとウィーンを行き来している筆者は、この2つの都市には治安に大きな差があることを常に感じていた。パリの空港に到着する度に無意識にガードを固め、ウィーンへ戻るとほっとしていた。テロ事件についても同様で、パリではこれまでに何度も身近でテロ事件が発生していたため、ニュースを聞いても「またか」という反応だった。しかし、今回の事件でISのテロ攻撃も遂にウィーンまで来たと実感せざるを得ない。

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