いよいよ明日!サイ・ヤング賞が日本時間12日午前8時から発表

投手に贈られる最高の栄誉、サイ・ヤング賞の受賞者がいよいよ日本時間11月12日午前8時から「MLBネットワーク」の番組内で発表される。すでにファイナリストの顔ぶれは発表されており、アメリカン・リーグはシェーン・ビーバー(インディアンス)、前田健太(ツインズ)、柳賢振(ブルージェイズ)、ナショナル・リーグはトレバー・バウアー(レッズ)、ダルビッシュ有(カブス)、ジェイコブ・デグロム(メッツ)という顔ぶれ。特にナ・リーグは僅差の争いになることが予想され、大きな注目が集まっている。

前田がファイナリストに名を連ねたア・リーグは、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の「投手三冠」に輝いたビーバーの満票受賞が決定的だ。メジャー全体の三冠王は2006年のヨハン・サンタナ(ツインズ)以来14年ぶりの快挙。もちろん、この年のサンタナも満票でサイ・ヤング賞を受賞している。

前田は規定投球回以上の投手としては1900年以降で歴代2位となるWHIP0.75を記録。2000年のペドロ・マルティネス(レッドソックス)が記録した0.74にはわずかに及ばなかったが、1913年のウォルター・ジョンソン(セネタース)が記録した0.78を上回る素晴らしい数字だった。成績は柳より優れているため、2位にランクインすることが有力視される。

ビーバーの満票受賞が確実なア・リーグに対し、ナ・リーグのサイ・ヤング賞争いは大混戦だ。最多奪三振のタイトルを獲得したデグロムの3年連続受賞は難しいと見られているが、対戦相手の打線の質を根拠としてデグロムこそ受賞に相応しいと主張する記者もいる。1試合の平均得点がメジャー12位までのチームとデグロムは6度対戦したが、ライバルのバウアーは1度、ダルビッシュも2度しか対戦していないのだ。

とはいえ、現実的にはバウアーとダルビッシュの一騎打ちになると見られる。バウアーは防御率(1.73)、WHIP(0.79)、被打率(.159)、完封(2)などの部門でリーグ1位の数字をマーク。奪三振(100)と奪三振率(12.33)もデグロムに次ぐ2位の好成績だ。シーズン最終登板では中3日で12個の三振を奪い、8回4安打1失点という見事なピッチングを見せた。リーグ唯一の防御率1点台という数字はもちろん、シーズン終盤の快投も投票者に強烈なインパクトを与えたに違いない。

一方、最多勝のタイトルを手にしたダルビッシュは、FanGraphs版のWAR(3.0)でリーグ1位の数字をマークしており、「実質的な投球内容はバウアーを上回っている」との声がある。奪三振(93)や奪三振率(11.01)ではデグロムやバウアーの後塵を拝しているが、与四球が少ないため、奪三振と与四球の比率(6.64)は両者よりも優秀。守備や運の要素を排除して算出する疑似防御率FIP(2.23)でもリーグ1位の数字を残している。

バウアーが優勢との声も聞こえるが、最終的には投票者がどの項目を重視するかという「好み」の問題になるだろう。すでに受賞者をめぐって様々な議論が行われているが、結果発表後も激しい論争が巻き起こることは間違いなさそうだ。

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