ALSの治療薬候補を見つける手法、京都大などが開発 AIとiPS細胞の技術を組み合わせ

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京都大

 人工知能(AI)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)の技術を組み合わせ、全身の筋力が低下する難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の治療薬候補を見つける手法を開発したと京都大などが発表した。iPS細胞を使ってさまざまな病気の治療薬候補を見つける手法への応用が期待できる。米科学誌「パターンズ」に12日掲載される。

 ALSは運動神経が消失し筋力が低下する。国内の患者は約9千人だが治療法は確立していない。一方で、治療薬候補を探すには数万~数百万個の化合物を評価する必要があり、治療薬開発の上で膨大なコストや時間のかかる点が課題となっているという。

 京大iPS細胞研究所の井上治久教授らは有効な化合物の探索をするために、熱が拡散する計算式「熱拡散方程式」を使うモデルを応用。AIを用いたほかの機械学習モデルよりも精度が高かった。今回のモデルをALSの患者から作ったiPS細胞に適用し、約200万個の化合物から有効とみられる5875個を抽出。さらに研究を重ね、5個の有効な可能性のある治療薬候補を見つけ出した。治療薬候補の探索において大幅な時間短縮が見込めることを確認したという。

 井上教授は「ALS以外のほかの病気へも応用可能な次世代の創薬ツールを開発できた意義は大きい」と話している。