J.ガイルズ・バンド「堕ちた天使」ララが愛の言葉ならナナナはロックの言葉 1982年 11月12日 J.ガイルズ・バンドのアルバム「ショータイム!」が米国でリリースされた日

ラララなじゃくてナナナ、J.ガイルズ・バンド「堕ちた天使」

以前のコラム『言葉にならない叫び -トーキング・ヘッズの熱くてファニーなロック的興奮』で “ハッ!” とか、“フーッ!” とかの歌詞には載らないような、いわゆる感嘆詞の魅力について投稿したが、今回もその類のお話。

“ラララ~” というフレーズが盛り込まれた歌は、子どもの頃から音楽の時間で歌わせられたりすることもあったので、なじみがある。ポピュラーミュージックの分野にも、デルフォニックスの「ララは愛の言葉(La La Means I Love You)」という、有名なラブソングもあるくらいだ。

ならば “ナナナ~” は何の言葉なんだろう? 1982年、高校一年生のボンクラ頭は、当時流行っていたJ.ガイルズ・バンドの「堕ちた天使(Centerfold)」を聴きながら考えた。

ライブアルバム「ショータイム!」で、まさかのナナナ2連発!

「堕ちた天使」はご存知の通り、エロ本を開いたら学生時代に憧れていた女の子が載っていた… という状況における男心を歌ったナンバー。そういうキワどい歌だと知ると、バカ男子の心はわけもなくときめくもの。おまけに “ナナナ~” の部分はキャッチーで、英語がわからなくても口ずさめる。即、気に入った。

何より気に入ったのはボーカリスト、ピーター・ウルフの声だ。ハリがあり、軽くザラついていて、それでいてどこか軽妙。軽妙だから、“ナナナ~” という脱力感のあるフレーズを歌ってもサマになる。なんというか、とっぽい魅力があったのだ。

そして、同年にリリースされたJ.ガイルズ・バンドのライブアルバム『ショータイム!』を聴いてブッ飛んだ。ラストナンバー「ダンス天国(Land Of A Thousand Dances)」はウィルソン・ピケットがオリジナルで、多くのアーティストがカバーしており、ブレイクの “ナーナナナナー” のフレーズはあまりに有名。これをがなるウルフのドライブ感満点のボーカルがとんでもなくかっこいい! この前の曲が「堕ちた天使」なので、まさかの “ナナナ” 2連発。これはすごい!!

ソロに転じたピーター・ウルフ、来日公演で生ナナナ!

その後ウルフはバンドを抜けてソロ活動に転じる。こちらはそれを追いかけつつ、J.ガイルズ・バンドの過去のアルバムをさかのぼったが、どのアルバムもR&Bを消化した根っこのあるアルバムで、ひたすらシビレる。とりわけライブ盤はどれも傑作で、“生まれ変われたら、こんな歌声が欲しい” とさえ思ってしまう。

J.ガイルズ・バンドのライブを観ることはかなわず、ウルフの単独での来日公演を1996年に観たのだが、これがカルチャーショックを受けるほど凄かった。ステージの上をびょんびょん飛び跳ねてはシャウトして、一曲終わってはビールを一気飲み。2時間の本編が終わったと思ったら、アルコールのまわった赤ら顔でアンコールを一時間半強、さらにテンションを上げてやってのけた。

「堕ちた天使」もプレイしてくれたので生ナナナも体験できた。あの晩の “ナナナ~” は、確かにロックンロールの言葉だった。

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※2018年4月28日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: ソウママナブ

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