日産、固定費削減で赤字幅縮小 21年3月期予想

中間決算を発表する日産自動車の内田誠社長=12日午後、同社本社(同社提供)

 日産自動車(横浜市西区)は12日、2021年3月期の連結業績予想を上方修正し、純損失が従来の6700億円から6150億円に縮小すると発表した。新型コロナウイルスの影響により販売低迷が続いているが、固定費の削減が奏功するとしている。

 内田誠社長は上方修正したものの、「当社が赤字を抱えていることに変わりはない。進めている事業構造改革を一切の妥協なく断行する」と強調した。

 売上高は従来予想比1400億円増の7兆9400億円に、本業のもうけを示す営業損益は4700億円の赤字から3400億円の赤字にそれぞれ引き上げた。

 同日、インターネットを通じて記者会見した内田社長は「過度に台数を追求せず、販売の質を高めるという取り組みが着実に成果となって出てきている」と説明した。販売台数は従来想定より1%増やし416万5千台を見込む。

 日産は今年5月に発表した事業構造改革プラン「日産ネクスト」を実行中で、販売台数に見合った生産能力に縮小するなど、固定費の削減に取り組んでいる。販売台数増に加え、一般管理費の縮減などで赤字幅が縮小する見通しだ。

 下期について内田社長は「質の向上に引き続き取り組む。下期には新型車を続々と投入する。こうした攻勢によって、黒字化していく」と力を込めた。

 新車効果が数字に表れるのは、21年3月期第4四半期から22年3月期の上期にかけてと見込む。年内に国内市場で、「新型コンパクトカー」を発表する方針も明らかにした。

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