<レスリング>【2020年全日本大学選手権・特集】グレコローマン選手権での屈辱をばねに圧勝優勝、来年こそ団体三冠王を目指す…2年ぶり優勝の日体大

2年ぶりに内閣総理大臣杯を手にした日体大=撮影・矢吹建夫

 10月の全日本大学グレコローマン選手権では5連覇ならず、3位に甘んじた日体大が、全日本大学選手権では3階級を制覇。初日で団体優勝を濃厚とし、最終的には7階級でメダル獲得、全員入賞の成績で2位の拓大に25点の大差をつけての圧勝優勝。2年ぶりに大学日本一に輝いた。

 2年前も同じ会場での開催だった。さかのぼれば、2001年の東アジア大会レスリング競技が行われた体育館であり、現役バリバリだった松本慎吾監督がグレコローマン85kg級に出場して優勝している。チームが勝っても内容によっては全く笑顔を見せない同監督だが、「縁起がいい体育館ですよ」と、19年前の思い出も相まって気分よさそう。

 今回の圧勝優勝は、「グレコローマン選手権での反省をもとに、出場する選手が勝つための取り組みをしてきた結果です。それぞれが力を発揮してくれ、総合的な勝利だと思います」と総括。初日、世界選手権の出場経験もある山口海輝(65kg級)だけではなく、まだ学生タイトルを手にしていない57kg級の竹下雄登と61kg級の小川航大も勝ったことで優勝に大きく前進したわけだが、「2人とも力を出し切れば優勝できると思っていた」と選手を信頼していた。

「この優勝を来年のリーグ戦につなげたい」…松本慎吾監督

 全日本大学グレコローマン選手権では、どの大学も同じだが、約1年ぶりの大会ということで戸惑いもあり、「勝てるだろう、という(楽観的な)気持ちもあったのかもしれない」と振り返る。その屈辱は選手の胸に刻まれていた。「団体戦としては今年の最後という気持ちが、優勝につながったと思う」と言う。

1年生で74kg級代表に抜擢され、準決勝で70kg級全日本王者を破った髙橋夢大=同

 上級生にけが人がいたこともあり、2階級で1年生を起用し、74kg級の髙橋夢大(京都・網野高卒)が2位に入る結果を残したことも、優勝の中でひときわ光る好材料。「多少の緊張があったはず。その中である程度の結果を出せたことは大きい」と評価。その一方で、出られなかった上級生に対して、「チーム内で競い合い、全日本選手権に向けて実力を示してほしい」と望み、下からの突き上げによるチームの活性化を期待した。

 昨年は団体三冠王に“あと一つ”としながら、最後に勝てなかった。今年は得意のグレコローマンで勝てず、やはりタイトルの独占はならなかった。すべて勝つことは本当に難しいが、団体戦の完全制覇こそが、監督に就任してから持ち続けている目標。「この優勝を来年のリーグ戦につなげたい。それは東京オリンピックでの好成績につながる」と前を向いた。

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