SCB第8-9戦:トヨタ・カローラ連勝で選手権首位キープ、ピケJr.も2位表彰台獲得

 11月7~8日にブラジルの国際トラック、クリティバでのダブルヘッダー戦が開催されたSCBストックカー・ブラジルの2020年第8・第9戦は、土曜のポール・トゥ・ウインに続き、日曜レース1勝利と破竹の勢いを見せたチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング)が選手権首位に返り咲き。レース2ではネルソン・ピケJr.(フルタイム・バッサーニ)が3連覇王者ダニエル・セラ(ユーロファーマ-RC)を抑えて2位表彰台を獲得し、終盤戦に向けトヨタvsシボレー真っ向勝負の展開となった。

 土日1ヒートずつの通常フォーマット戦となった前戦ヴェロチッタでは、シボレー・クルーズ勢が今季初の週末完全制覇を達成し、前半戦の不振から復活をアピールする結果となったが、今季参入TOYOTA GAZOO Racingブラジルの新型『トヨタ・カローラ』もその勢いに対抗すべく、この週末は土曜最初の予選セッションからシボレー勢とガチンコ勝負の展開に持ち込んでいく。

 土曜シングルレースの第8戦に向け、午前の予選Q1へと臨んだシボレー・クルーズ、トヨタ・カローラの全25台は、上位21台が0.5秒圏内というこのカテゴリーの記録を更新する歴史的僅差の勝負を繰り広げ、Q2ではディエゴ・ヌネス(ブラウ・モータースポーツ)、ギリェルメ・サラス(KTFスポーツ)と、シボレー勢を抑えたトヨタのカミーロがポールポジションを獲得する。

 午後の決勝28周でも勢いを維持したカミーロは、10周目に義務ピットで一旦は若手有望株のサラスにリードラップを奪われるも、24周目に“ファン・プッシュ(SNSファン投票で使用上限回数の決まるオーバーテイクボタン)”を活用して首位を奪還。

 これでカミーロがキャリアハイの2位サラス、3位のディフェンディングチャンピオン、セラを従えてポール・トゥ・ウインを決め、左リヤタイヤナットの問題でピットストップ中に10秒を失い、13位に終わった選手権首位のチームメイト、セザール・ラモス(イピランガ・レーシング)に2点差とするランキング2位に浮上した。

 明けた日曜“ダブルラウンド”となった第9戦でもカミーロの勢いは衰えることなく、レース1に向けた予選で最前列を確保すると、気温30度越えの酷暑を記録したトラックでトヨタvsシボレーの熾烈なバトルを展開する。

 カミーロは、前日に続き喰い下がったシボレーのサラスをわずか0.685秒差で下して連勝を飾り、3位にデニス・ナバーロ(カバレイロ・スポーツ)、4位にセラとシボレー勢の3台を抑え込むリザルトを手にした。

大会直前にHot Car Team代表のアマデウ・ロドリゲスが事故で逝去し、急遽、彼の名称を冠した大会とし弔意を示す週末に
選手権首位で臨んだ30号車セザール・ラモス(Ipiranga Racing)だが、土曜はネルソン・ピケJr.(Full Time Bassani)と絡むなど、3戦で13位、16位、18位に沈む
選手権で初のリードラップを記録したギリェルメ・サラス(KTF Sports)だが、惜しくも初優勝には届かず
Hot Carにも所属した経験を持つ勝者カミーロは、代表の娘たちをポディウムに呼び、ともに週末の勝利を捧げた

■ランキングトップ3をトヨタ勢が独占

 続くリバースグリッドのレース2は、前戦10位でポール発進となったシボレーのガブリエル・カサグランデ(R.マティス・モータースポーツ)に勝利を譲るも、カミーロも7位まで挽回してポイントを獲得。これにより“予選最速男”の異名を取るカミーロはこのカテゴリーで新記録を樹立し、同じ週末に74ポイント、つまり積算可能な84ポイントの88%を獲得する荒稼ぎで、24点のアドバンテージを得て選手権首位に返り咲いた。

「僕らはつねにポイントを最大化するために一生懸命努力しているが、これほど完璧で夢の中のように最高な週末を送り、2勝、7位獲得でここを離れることは想像もできなかったよ」と、望外の結果を喜んだカミーロ。

「当初のようにトヨタの優位性は薄れ、シボレーがキャッチアップしてきたのは明らかだ」

「そのなかで結果を出すことがどれほど難しいか。すべての物事の細部と詳細で、どれだけ勝負の行方が決定されるかを僕は知っている。だからこそ、週末の2勝はその努力に対する“魂の洗濯”のような結果だ」

 これでシーズン3勝目を挙げたカミーロに対し、カサグランデは今季14戦中で11人目の新たなウイナーに。23周のレース2勝利後に、緊迫した超接近戦での疲労と暑さからか、マシンを降りて表彰台に向かう前まで座り込んで水分補給をしていた男も、その勝負の熾烈さを言葉にした。

「僕らのクルマは決して驚異的なペースを持っているわけではなかった。レース2ではグリッドが反転して最前列でスタートできたから、その後のミッションは明確だったが、本当に困難だった」と、疲労困憊で語ったカサグランデ。

 2位にピケJr.が入り、3位にセラ、4位にルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)、5位リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ)のトップ5となったレース2の結果、ポイントスタンディングは首位カミーロに続きゾンタ、バリチェロとトヨタ勢がトップ3を独占。その背後にリカルド・マウリシオと3冠王者セラのシボレー勢トップチーム、ユーロファーマ-RCの2台が並ぶ形となっている。

 続く2020年のSCBシリーズ第10・第11戦は11月21~22日の週末に、ふたたびゴイアニアでのダブルヘッダー戦が予定されている。

日曜のR1も好調カミーロがライト・トゥ・フラッグで今季3勝目を飾り、選手権首位に浮上
R2はリバースポールの好機を活かしたガブリエル・カサグランデ(R.Mattheis Motorsport)が今季初勝利
ここまで2戦をトップ10圏外で終えていたネルソン・ピケJr.(Full Time Bassani)も、週末最終ヒートで2位表彰台を獲得した
日曜ウイナーのカミーロ(左)とカサグランデ(右)が並んだポディウム。第10-11戦は、11月21〜22日の週末に再びゴイアニアでのダブルヘッダー戦が予定されている

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