リノベーション事例特集|フルリノベーションの費用相場、注意点も併せて解説

リノベーションによって部屋の間取りやデザインを大きく変えると、まるで新築のような真新しい空間ができあがります。ただし、工事や費用面で注意すべき点もあるので、準備は慎重に進めていきましょう。今回はリノベーションで生まれ変わった空間の事例とともに、フルリノベーションの費用や注意点について紹介します。

リノベーションとは

リノベーションとは住まいに新しい価値を生み出す改修のことです。中古住宅(一戸建て、マンション)の間取りや内装、配管などをつくり替え、個人のこだわりやライフスタイルを反映させた新しい空間に生まれ変わらせるといった意味を持ちます。

住む人によって心地いいと感じる空間デザインは異なるもの。ライフスタイルに合わせて間取りや機能を見直し、新しい空間をつくりだします。マンションの場合、外観はそのままでも部屋の間取りを大きく変えることによって、新築のようなきれいな空間を実現できるでしょう。

リノベーションのメリットは自由に設計できる点。水回りの位置変更や間取りの変更、内装デザインから設備機器交換にいたるまで、生活スタイルにあわせて自由につくることができます。マンションの間取りはファミリー向けの画一的な間取りになっているケースが多数です。ファミリー用の3LDKの間取りも、ひとり暮らしに適した1LDKに大胆に変更できます。

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リノベーションのデザイン事例一覧

マンションのリノベーションでは、間取りやデザインを変えて、ライフスタイルに合った空間を実現できます。実際にビフォー・アフターで見ると、その効果は一目瞭然。内装を和風やアンティーク調にするなど、中古物件やマンションでも新築のようなきれいでおしゃれな空間ができあがるでしょう。

サンルームにおしゃれな観葉植物がマッチ

akkii_28さんのインスタグラムより

サンルームは室内でありながら、屋外のような空間。観葉植物や洋ラン、多肉植物などの鉢植えを置くと、緑に囲まれたおしゃれな空間が誕生します。観葉植物を天井から吊り下げたり、お気に入りのチェアの上に置いてみたり、飾り方は人それぞれ。あえて家具を置かなくても、観葉植物があるだけで、おしゃれな空間に様変わりします。

ハンモックを吊り下げると、まるで森林浴をしているようなリフレッシュできる空間に。北欧テイストの家具ともよく合います。スペースが狭くても棚を取り付けるなどすれば、アイデア次第でより過ごしやすいナチュラルなサンルームが実現できるでしょう。

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タイルが主役のアンティーク調キッチン

キッチンの壁にタイルを取り入れると、キッチン全体がアンティーク風のおしゃれな空間に仕上がります。狭小住宅で大規模なリノベーションができなくても、タイルを替えるだけでおしゃれな暮らしができるいい事例です。

タイルの色にこだわってみるのもおすすめ。アイボリーや薄いグリーン、ターコイズブルーのようなニュアンスのある色味など、タイルの色を変えるだけでキッチンの雰囲気もガラリと変わります。正方形のタイルでもおしゃれですが、横長のタイルを互い違いに貼ったり、トルコの絵柄タイルを貼ったりするのもおしゃれです。

障子と照明で和モダンな雰囲気を演出

洋室にシンプルでモダンな照明や障子を取り入れるだけでも雰囲気がガラリと変わります。ソファやチェアを置いても違和感がなく、和の雰囲気とほどよくマッチ。ところどころに木の温もりを取り入れることで、和モダンな部屋に落ち着きが出て、さらに快適で過ごしやすい空間になります。天井から吊り下げられた和紙製ペンダント照明はテーブル周りに最適。和紙がまぶしさを軽減してくれるほか、デザイン性も抜群です。

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天井の高さが引き立つ、開放感あふれる

天井の高さと階段が特徴的な、明るく開放感あふれる空間。天井の圧迫感から解放されることで、部屋の印象がぐっとグレードアップします。二階へつながる階段をあえてリビングの中に取り入れることで、見た目が垢抜けた感じに。暗めの色の家具を置いても、開放感のある空間のおかげで、見た目に重苦しさを感じません。

琉球畳の現代風な和室にリノベーション

琉球畳は畳縁がないため、見た目に開放感があり、ナチュラルなインテリアに仕上がります。また、琉球畳は正方形の形をしているため、普通の和室と違ってモダンな雰囲気を演出できるでしょう。見た目にクセがないため、さまざまな家具と合わせやすいのもメリット。木製の家具を置くと、洗練された北欧風のインテリアに仕上がります。シンプルなインテリアにもうまく溶け込み、過ごしやすい空間になるでしょう。

リノベーション工事の費用相場

リノベーションを行うときに気になるのは費用面。新築のマンションや戸建てと比べて費用のメリットが大きいとはいえ、決して安い買い物ではありません。物件購入価格に加えてリノベーションやリフォーム費用が必要です。1LDKをリノベーションするとなると、1000万円近い費用がかかります。デザインにこだわりすぎると予算オーバーになることも……。最初に総額の資金計画を行うことが大切です。

スケルトンリノベーション:1㎡あたり10万~15万円が相場

内装を一度すべて解体してからリノベーションを行うことを「スケルトンリノベーション」といいます。スケルトンリノベーションの場合の費用は、1㎡あたり10万~15万円前後が目安です。たとえば、50㎡のマンションをリノベーションする場合、500万〜750万円くらいが相場価格となります。ただし、面積が狭い方がキッチンやユニットバスなど設備にかかる費用が占める割合が大きくなるため、1㎡あたりの単価も高額です。また、物件の築年や広さ、内装材や設備のグレードによって、最終的な金額も大きく異なってきます。

既存の間取りや設備を利用しながらリノベーションする場合は、比較的コストを抑えられますが、築年数が古い場合は要注意。住まいに必要なインフラ箇所が、経年劣化によって問題が生じていると改修が必要です。そのため、費用に余裕をみて予算を考える必要があります。

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リノベーション工事で注意するポイント

マンションの場合、所有者が自由にリノベーションできる範囲は決められています。戸建てと違い、構造や管理規約による制約もあるので注意が必要です。事前確認を怠ると、マンション間取りを変更できず、思うようにリノベーションできない可能性もあります。工事してから後悔することがないように、間取りの大幅変更を行う際は、以下のポイントに注意しましょう。

工事期間を確認する

中古マンションのフルリノベーションにかかる工事期間は約6~7カ月が一般的です。設計に約3カ月、工事に約3カ月かかります。ただし、この期間内ぴったりに終わるケースは少なく、予期しないトラブルが起きて期間が延びることも珍しくありません。たとえば、解体したら柱や配管が劣化しており、当初予定していた計画の見直しを迫られるなど、解体後の構造状況によって計画が大きく変わることもあります。購入時に気づかなかった問題点が解体後に発覚することもあるので、想定外の事態に対する備えが必要です。

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リノベーションの規制がないか確認する

マンションリノベーションを行うときは、事前に管理規約を確認しておく必要があります。管理規約とは、マンションの住戸人によって構成される管理組合が定めた規約のことです。マンションによっては、管理規約の中でリフォームに関する制限を設けています。リノベーションを目的に中古物件を購入する際は、不動産会社に確認してもらいましょう。

管理規約による制限がないか

管理規約では、床材の変更や躯体への穴あけを禁止しているケースも。床の遮音性が低いと、上下階で騒音トラブルに発展しやすいため、フローリングの遮音性能について細かく規約が盛り込まれていることもあります。管理規約の内容によっては、希望するフローリング材が使えないケースもあるので注意が必要です。

管理組合への届け出や隣室の同意も必要

ほかにも管理規約では管理組合への事前の届け出や隣戸の承認などを義務づけています。工事を行う際に上下階や両隣の住民などから同意が必要な場合があるので、管理規約を事前に確認しておきましょう。マンションでリノベーション工事を行う場合は、事前に管理組合に承認を得る必要がある場合がほとんどです。設計が終わっていても、管理組合に承認されるまで工事がスタートできないというケースは珍しくありません。

工事の期日までに管理組合から承認を得られなければ、工事自体が開始できない可能性があります。そうなれば、工事終了までの全体の期間も延びてしまうでしょう。工事の申請をしてから承認されるまでに必要な期間はマンションによって異なっており、承認までに1か月以上かかることも…。工事期間への影響が出ないように、早めに同意を得ておきましょう。

マンション内でリノベーションできる場所

戸建てをリノベーションするときと違い、マンションでは住人がリノベーションできる場所が限られています。

リノベーションで変えられるのは「専有部分」

マンションには「共用部分」と「専有部分」があり、所有者が自由にリノベーションできるのは専有部分のみです。専有部分は床や天井など壁に覆われて遮断された各住戸を指します。自分が住んでいる部屋の中であればリノベーション可能ですが、エントランスやエレベーターなど、住民が共同で利用する共有部分は工事不可です。

共用部分はロビーや階段などのほか、構造部分となる壁や床、柱や梁も含まれます。窓のサッシ、ベランダ、バルコニーなどもマンション全体で共有している部分に入るため、勝手に変更することはできません。窓のサッシなどを変更したい場合は、管理組合への申請が必要です。

玄関ドアを勝手に交換することはできませんが、内側の色を変えることはできます。専有部分と共用部分に関しては、マンションの管理規約にも掲載されていることがほとんどです。工事を行う前に一度チェックしておきましょう。

間取り変更の自由度は構造次第

間取りをどこまで変更できるかは、マンションの構造によって異なります。間取り変更の自由度が高いのは、梁と柱で支える「ラーメン構造」。ラーメン構造は専有部分内に構造部分にあたる間仕切り壁があるケースがほとんどないため、間取りの変更が可能です。

一方、柱や梁を使用せずに壁で支える「壁式構造」の場合、間仕切り壁があるケースがあり、構造上の問題でリフォームができない場合もあります。壁式構造でつくられたマンションは、一部の低層マンションです。間取りを変更したい場合は、マンションの構造を調べておきましょう。

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設備の自由度は、床下の構造が重要

キッチンや浴室、洗面台、トイレといった水回り設備をどこまで変更できるかは、床下の構造が重要です。水まわりの設備を移動するとなると、換気扇のダクトや配管の設置も変更する必要があります。これらを移動する場合は、天井の懐や床下の空間が必要です。空間に余裕がない場合は設備の移動が難しくなります。

コンクリートスラブのすぐ上に床材を貼る「直床構造」だと、水回り設備を移動することは困難です。また、コンクリートスラブと床の間を排水管が通っている「二重床構造」の場合でも、スラブと床のスペースにゆとりがないと、設備の変更ができない場合があります。

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