技能実習生に日本語教室 五島 コロナ情報収集、相談の場面想定

日本語での自己紹介などについて学ぶ外国人=五島日本語学校

 長崎県五島市坂の上1丁目の五島日本語学校で今月から、市内で働く外国人技能実習生ら向けに、無料の日本語教室が開催されている。新型コロナウイルスに関する情報を得たり相談したりする場面を想定し、日常生活で使う簡単な日本語を学んでもらう。参加者にとっては日本の文化などを知り、他の外国人と交流する機会にもなっている。
 15日午後。東南アジア出身の女性29人が2部屋に分かれ、日本語教諭に視線を注いでいた。
 「『わたしは…ではたらいています』。ここには何が入りますか?」
 「しごと!」
 「では皆さん、どんな仕事をしていますか?」
 2回目の授業となるこの日のテーマは自己紹介。一人一人が名前や年齢、出身国、仕事の内容を紹介し、母国や日本の食べ物などについて語り合った。日本語のレベルは、単語や短い文章を話す程度の人から冗談を言う人までさまざまだ。
 市によると市内に暮らす外国人は151人(10月末現在)で、多くは技能実習生。新型コロナに関する情報が言葉の壁によって届かない事態を避けようと、市が日本語教室の開催を企画し、ベトナム人留学生を教えている同校に委託した。情報収集や相談、病院の受診方法などを中心に教え、今後は感染症対策の市職員らも講義で話す予定という。市は「何かあれば(実習生が働く)事業所なども対応すると思うが、まずは自分で話せるようになってほしい」とする。
 15日は同市の縫製業「福江サンヨー」のカンボジア人実習生7人も受講。授業の様子を見守った桑原勝利代表取締役は「しっかりと学び、コミュニケーションや体調管理のために書いてもらっている日記に、胸の内や悩みまで書いてほしい」と語る。同社で働くティウン・スレイスロスさん(30)は「みんな(他の外国人)がいて楽しい。日本語は難しくて分からないこといっぱい。いろいろ頑張りたい」と意気込んだ。
 日本語教室は、新型コロナ対策に関わる国の地方創生臨時交付金を活用。毎週日曜日に開講し、来年2月までに計15回を予定。現在はカンボジア、ベトナム、タイ出身の計33人が授業を受けており、定員には空きがある。問い合わせは市政策企画課(電0959.72.6127)。

© 株式会社長崎新聞社