石木ダム、期限から1年 暮らし続ける13世帯 「古里沈む気しない」

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13世帯が今も暮らす水没予定地。工事が進み、風景は少しずつ変わっている=17日、川棚町

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業は、水没予定地に暮らす反対住民13世帯の宅地を含む全用地の明け渡し期限から18日で1年となる。本体工事着工に向けた県道付け替え道路工事(1工区約1.1キロ)は約560メートルで舗装を終え、風景は少しずつ変わる。一方で、所有権を失った13世帯は明け渡しに応じず、古里で暮らし続けている。
 住民らは17日も朝から工事現場に集まり、抗議の座り込みを続けた。今や「日常」となった時間。午後から参加した岩下すみ子さん(71)は長いようで早かった1年で、支援してくれる県内外の人たちとのつながりもより深くなった、と感じる。「現場に通い、座り込む毎日だけど苦痛はない。古里がダムに沈む気は全くしない」という。
 同事業を巡っては、県収用委員会が昨年5月、地権者に全ての未買収地約12万平方メートルを明け渡すよう裁決を出した。土地収用法に基づき、県と市が全ての建設予定地を取得したのが昨年9月20日。家屋などの物件を含まない土地は同19日、物件を含む土地は昨年11月18日が明け渡し期限だった。
 現在、知事権限で家屋などを撤去できる行政代執行も可能な状況にある。中村法道知事は「それ以外に解決の方策がない段階で総合的に判断する」と慎重な立場を繰り返す。県側は話し合いでの解決を模索するが、昨年9月以降、その機会は訪れていない。