阿賀野川の危険箇所(新潟県阿賀野市)の解消に向け、堤防の高さを確保する工事が開始

工事現場。国道460号の下にある赤線の部分で、JR東日本の橋梁と堤防がクロスしている

国交省北陸地方整備局 阿賀野川河川事務所は、阿賀野川の危険箇所の解消に向け、堤防の高さを確保する工事に着手した。

場所は、阿賀野市下里地区のJR羽越本線 橋梁(右岸側)と堤防がクロスする付近(上写真)。

橋梁は、大正元年に完成。その後、大正2年の洪水を契機に、大正4年から河川改修が始まった。だが、既に橋梁が完成していたため、橋梁の周辺部分だけが1.8メートル低くなっていて、ここから水が溢れ、周辺の堤防を削る恐れがある状態になっている。

こうしたなか、観測史上最高水位を記録した平成23年7月新潟・福島豪雨では地元消防団30余名が5時間25分かけて、この開口部に土嚢(どのう)1,657袋の土嚢設置が行われたという。また、昨年の東日本台風においても、地元消防団により約460袋の土嚢設置が行われている。

土嚢設置作業(平成27年7月新潟・福島豪雨時)

そこで橋梁の一部架け替えを行った上で堤防の高さ確保を図るほか、河道掘削や樹木伐採の工事を行ない、流域断面を広げることにした。

令和4年度の完成時には、平成23年7月新潟・福島豪雨と同規模の洪水が発生しても、安全に水を流せるようになる。また、避難勧告発令の目安となる「氾濫危険水位」を、より高い水位に設定できるようになることから、避難勧告回数が4割低減するほか、土嚢設置の作業も大幅に削減できる(平成23年新潟・福島豪雨時の1,657袋に比べ9割削減)。

(上写真2枚)橋梁と堤防の様子

工事に先駆け、平成30年10月にJR東日本と、橋梁架け替えに関する設計協定、今年3月に工事に関する基本協定を締結。また、河道掘削など流域断面を広げる工事は国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」により行う。

橋梁関連では、橋脚の下に、(橋脚の左右まで伸びている)コンクリート壁を設置できるよう、薄い橋梁(下図の赤色の橋梁)に架け替え、橋梁と土手の間にコンクリート壁を設置できる空間を確保する。また、橋梁は薄くなる分、強度を上げなければならなく重量が増えることから、橋脚の補強工事も行う。

河道掘削など流域断面のエリアについては、下の写真参照。

(橋脚の左右まで伸びている)コンクリート壁を設置できるよう、薄い橋梁の架け替え工事を行う。なお架け替え作業は、現場まで新しい橋梁を運び深夜に行うという

河道掘削エリア。なおAA間も河川となる

橋脚の補修工事に向け、現在、橋梁を取り囲む堤防の工事を行っている(堤防より撮影)

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