バンクシーのような技法で オンライン絵画教室開催 対馬・久田中 長崎県展移動展の代替企画

テレビ会議システムでプロジェクター(奥)に映し出された解説や作品例を参考に、ステンシルに挑戦する生徒ら=対馬市立久田中

 新型コロナウイルスの流行で本年度の「県展」が史上初の中止となったことを受け、県展実行委員会(江副功実行委員長)は県展移動展を開催予定だった長崎県対馬市で17日、中学生を対象にしたオンライン絵画教室を初めて開いた。同市厳原町の市立久田中2年の23人が画家の指導を受け、ステンシル(孔版画(こうはんが))の制作にチャレンジした。
 オンライン絵画教室は、対馬での県展移動展で実施するはずだった子ども向けワークショップの代替。久田中と県美術館(長崎市)をテレビ会議システムで結び、県美術協会会員の一山信二さん(63)が動物をモチーフにした作品づくりについて実演を交えながら、同館内から指導した。
 一山さんは英国を中心に活動するストリートアーティストのバンクシーを例に、切り抜いた形を使って着色するステンシルの技法を紹介。自身の作品も久田中に展示してもらった上で、「バンクシーがやったステンシルに挑戦してみよう」と呼び掛けた。
 生徒はプラスチック製シートを好みの動物の形に切り抜き、アクリル絵の具を含んだスポンジでこすってキャンバスにそのシルエットを転写。その上で、模様やメッセージを思い思いに描き足した。
 「俺はボスだ」のタイトルで、体格の良いゴリラ3匹を並べ、鮮やかなドット模様で彩った岸川愛夢(あゆめ)さん(14)=2年=は、「ゴリラはボスを目指すため激しく競い合うと聞いたことがある。体格には力強さを、ドット模様は心の中に秘めた優しさを表現しようと思った」とほほ笑んだ。
 一山さんは「オンラインでマチエール(質感)を伝えることは難しいが、事前に学校へ作例を送ることで解決した。今後もこうした取り組みができれば」と話した。

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