「カタカナの漢方商品」は漢方と認識されていない!?/生活者調査

【2020.11.19配信】昨今、「カタカナの漢方商品」が市場に登場しているが、そうした商品を「漢方だ」と認識している人は1割に満たないことが分かった。漢方であるか否かではなく、効能・効果に魅力を感じて購入しているようだ。しかし、一方で、「漢方かどうか」を認識していた方が購入意向は高くなる傾向も分かり、商品のプロモーション上は「効能・効果」に加え、「漢方」であることを謳うことも有効といえそうだ。

調査はインテージヘルスケア社が京浜・京阪神の16~79歳の男女2,849 人を対象に行った。

複数の具体的な商品それぞれについて「主成分が漢方薬であると思う」と回答した人の割合は、商品名に漢字を含む漢方薬を認知している人で 62%(3商品の平均値)。

商品名がカタカナの漢方薬を認知している人では 9%(9商品の平均値)で、商品名に漢字を含む商品と比べると 53 ポイント低い結果となった。

一方、カタカナ名の商品について、それぞれの使用意向を、主成分が漢方薬であることの認識の有無で比較したところ、「主成分が漢方薬であると思う」と回答した人は、そうでない人に比べて使用意向がいずれの商品でも高く、最大で約 25 ポイントの差があった。

今回の調査で、一般用医薬品として販売されている漢方成分の商品の中には、主成分が漢方薬であることへの認識が低いものがあることが分かった。特に、近年増えている商品名がカタカナの漢方薬の商品において、この傾向が強いことから、これらの商品は「漢方薬であること」とは別のポイントで消費者に評価されている可能性がある。

商品名がカタカナの漢方薬は、商品名が効能・効果に沿ったネーミングであったり、適応症状を全面に出したパッケージであったりするなど、「漢方薬であること」より「どんな症状に効果があるか」を訴求した商品が多いと考えられる。

それによって、消費者はどの商品が自分の症状に適しているか判断しやすくなり、結果として購買行動につながっている。一方、商品の主成分を漢方薬と認識している人の方が、その商品に対する使用意向が高いことも明らかになった。

これらの結果を受け、同社コンシューマーヘルスケア・ソリューション部の棚倉 佑典氏は、「現在、漢方薬であること以外の点で評価されている商品が今後、漢方薬として認知されていくことで、使用意向の喚起にもつながっていくのではないか」との見解を示している。

漢方市場の上位は葛根湯や防風通聖散

なお、市販の漢方薬市場は 2013 年以降、伸張している。2013 年の販売金額が 47.9 億円であるのに対し、2019 年は 60.8 億円と、6 年間で約 27%増加している。また店頭での売上シェア上位の成分は、葛根湯や防風通聖散などとなっている。「生薬や漢方など、天然成分由来のものを好む」という意識が高まっている世代があることも、市場拡大の要因のひとつとして考えられる。

© 株式会社ドラビズon-line