NECと産総研、生産ライン構築や計画変更を高速化するAI技術を日産自動車と実証

製造業では、新規生産ラインの稼働前や既存生産ラインでの計画変更前に、生産ラインシミュレーションなどを用いて、事前評価・分析を行っていることがある。従来は、生産ラインの各工程での平均所用時間、人員・ロボットなどの配置をパラメーターとして設定し、シミュレーションを繰り返すという作業を人間が行っていた。しかし、個別の顧客ニーズに合う商品を効率的に生産するマスカスタマイゼーションによる多品種混流生産ラインでは、生産ラインが複雑化しパラメーターのパターンが膨大となり、評価時間の増大やシミュレーション精度に課題があった。日本電気株式会社(以下、NEC)と国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、AIシミュレーション融合技術を用いて、生産ラインの事前評価と運用の効率化を行う実証実験を、日産自動車株式会社と共同で実施した。日産自動車の実際の生産ラインで利用している生産シミュレーターを活用し、精度の高い結果を得られるパラメーターを推定する実証実験を行い、新規生産ラインの早期構築や既存生産ラインでの迅速な計画変更により機会損失の削減・在庫削減が可能になること、また、精緻な予測による原価見積もりの精緻化・追加投資の削減が可能になることが確認できたという。AIシミュレーション融合技術は、NEC-産総研人工知能連携研究室が開発し、精緻なシミュレーションを短時間で自動構築し、少ないデータから最適な意思決定を支援するものである。生産ラインへの適用では、機会損失の削減・在庫削減や、原価見積もりの精緻化・追加投資の削減が可能になるとしている。

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