【フロンターレ最速V】「憲剛さんと一緒に優勝を」結実 次に狙うは天皇杯

【川崎―G大阪】前半、2点目を決め、喜ぶ川崎・家長(左)=等々力

■大一番でも川崎らしさ全開
 美しい光景だった。今季限りで引退するチーム最年長の中村が銀色のシャーレを等々力の夜空に掲げる。きらびやかなテープが舞い、川崎の覇権奪回を告げた。

 未曽有のコロナ禍に見舞われたシーズン。「ゴールをたくさん取って日本をどんどん盛り上げる」という鬼木監督の大号令で突き進んできたチームは大一番でも鮮やかにネットを揺らし続けた。自在のパスワークで相手を揺さぶり、クロス、セットプレー、カウンターと多彩な攻め手で怒濤(どとう)の5得点だ。

 4試合を残してのリーグ制覇は、2010年の名古屋(3試合)を上回り史上最速。同一シーズンの連勝記録を2度も更新し、歴代最多となる勝ち点75まで積み上げてみせた。

■コロナ禍も一体感揺るがず
 「選手が一丸となって目標に向かって進んでくれた」と指揮官は胸を張る。緊急事態宣言が解除され、チーム活動を再開した6月初旬。最初のミーティングで鬼木監督は「たとえ感染者が出ても誰かが悪いわけじゃない。チーム全員で家族として支え合っていこう」と訴えた。それぞれが予防策に気を配り、一人の感染者も出さずに揺るぎない一体感で乗り切った。

 シーズン終盤、キャリア18年を川崎一筋で貫いてきた中村の突然の引退表明にも、皆で涙したというチームの結束はより深まった。選手だけではなくクラブスタッフも「憲剛さんと一緒に優勝を」と口をそろえ、目標のゴールテープを切った。

 Jリーグ歴代最強の呼び声も高く、常勝の風格が漂ってきたチームが次に狙うのは、国内三大タイトルで唯一手にしていない天皇杯。酸いも甘いもかみ分けてきたクラブの功労者を送り出す大団円へ、残り試合も圧倒的な強さで駆け抜けていく。

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