サッカーJ1の川崎フロンターレが25日、史上最速となる4試合を残してのリーグ制覇を決めた。コロナ禍で観戦機会が制限され、18年間クラブを支え続けた元日本代表の中村憲剛選手(40)が引退を表明しているシーズン。「僕たちが元気をもらった。ありがとうと言いたい」。地元での勝利でつかんだ頂点、ファンにも特別な思いがこみ上げた。
ホームの等々力陸上競技場(川崎市中原区)に詰め掛けたのは、上限いっぱいの1万1360人。チームカラーのサックスブルーを身に着けた老若男女は一様に声をそろえた。
新型コロナウイルスの感染拡大で、リーグは2月下旬の第1節から約4カ月間中断。7月4日に再開したが、入場制限の緩和は段階的で、この日の応援も手拍子などに限られた。
「第3波」の到来で感染拡大が懸念される中でも、会場には多くのファンらが集まり選手たちに熱を届けた。
東京都杉並区の女性(64)は「声は出せないが心の中で叫んだ」。女性の長男(31)は勇姿を見届けるべく昨秋、都内から川崎市中原区に引っ越した。「本当に強い。最高です」と余韻に浸った。
中村選手の背番号14のユニホームをまとった観客の姿も目立った。母親と訪れた児童(9)=東京都練馬区=は、フロンターレ一筋に活躍してきたスタープレーヤーの大ファン。「ケンゴがいなくなるのはつらいけど、残りの試合でシュートを決めてほしい」と胸を膨らませた。