新型コロナワクチン提供開始へ @フランス【11月26日】 新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ

 新型コロナ第2波が襲う欧州内でも、感染状況の悪さでトップとなっているフランスは、ロックダウンを厳格化しているが、目に見える効果は現れていない。国民の「コロナ慣れ」、また外出禁止措置や店舗閉鎖に対する不満も大きく、政府の指示に従わない人々も多い。

 特にパリジャンにとっては、仕事帰りや夕食前にカフェで軽く一杯たしなむアペロ、レストランでの食事、観劇、コンサートや美術鑑賞といったレクリエーションが日常生活の重要な位置を占める。その権利を剥奪されていると感じる日々は相当なストレスとなっており、外出が許されないならばと、自宅に友人を呼んでパーティーを開く人々が後を絶たない。ワイナリーでは、地下のワインセラーで秘密の試飲会を開いているといった話も聞かれる。外出禁止措置にもかかわらず、パリ市内の日中の人通りはかなり多い。このような現状を見ると、感染状況がなかなか改善しないのもうなずける。

 そんな中、マクロン政府は、「感染者状況が1日5000人、緊急病棟における収容人数が2500~3000人に改善した場合は、12月15日にロックダウンを解除できるだろう」と発表した。しかしながら、その後も外出禁止措置は継続される予定だ。また同時に、新型コロナワクチンが保健機関の最終承認段階で、12月下旬~1月初旬に提供を開始すること、併せてワクチン接種は義務化しないことを発表した。感染者の隔離義務を厳格化する可能性も示した。

 新型コロナワクチンは、EUの政策執行機関である欧州委員会(EC)が契約しているモデルナ(Moderna・米)、ファイザー(Pfizer・米)、バイオエヌテック(BioNtech・独)、アストラゼネカ(AstraZeneca・英)などの製薬会社6社から提供される。欧州委員会が確保した総数19億人分のワクチンは、EU加盟国の人口比に基づいて配分される。フランス国内のワクチン接種は、最も感染リスクが高い状況下にある医療従事者や感染すると重篤化する可能性が高い高齢者から開始する予定だ。欧州各国とも、感染状況の改善がみられない中、ワクチンの登場は目下のところの唯一の頼みの綱となりそうだ。

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