第32回ヤングシナリオ大賞決定!代理出産やLGBTを題材にした「サロガシー」

坂元裕二氏、野島伸司氏ら多くの人気脚本家を輩出してきた「フジテレビヤングシナリオ大賞」の第32回受賞作品が発表され、大賞作品が的場友見さんの「サロガシー」に決定した。今回の応募総数は1567編で、大賞作品には賞金500万円が贈られた。

「サロガシー」は、28歳の主人公・江島環が、ゲイである38歳の兄・江島聡のために、代理母(=サロガシー)として妊娠出産することを決意する物語。その両親や周囲の心境や、主人公の生き方を描いている。代理出産、LGBTなどセンシティブな題材だが、登場人物を身近に感じる人物像として丁寧に描き出し、人間的魅力で飽きさせずに展開していく構成が巧みであり、かつ医療制度、法律、社会通念、倫理観などさまざまな問題に真摯(しんし)に向き合っていることなどが、高く評価された。

審査員長を務めたフジテレビの澤田鎌作氏は「今回のヤングシナリオ大賞の最終候補に残った作品数は16点。 最終選考の会議においては、流し打ちで内野の間を抜くバッティングではなくフルスイングでホームランを狙える将来の4番バッター候補を選ぶという方針の下、議論を重ねた」と明かした。

このほど開かれた授賞式では、フジテレビ代表取締役社長・遠藤龍之介氏から、大賞受賞者の的場さんのほか、佳作受賞者である「東京バナナ」の湯田美帆さん、「ふぁってん!」の横尾千智さん、「男は背中を語る」の山崎力さんに賞状が授与された。

的場さんは「今年、2020年は特にドラマの力、素晴らしさを実感された方が多い年ではなかったかと思います。そのような年にこのような素晴らしい賞をいただけてうれしく思っています」と喜びを口にした。

また、湯田さんは「『東京バナナ』という作品は、“夢はかなう、仲間がいれば”という内容の作品ですが、私自身それをすごく体感したなと思っています。いろんな仲間に助けてもらって、今ここに立つことができたので、その仲間に感謝したいです。とはいえ、ここが本当の意味でのスタートだと思っていますので、お茶の間に笑いや癒やしを届けられる、そんな脚本家を目指してまいります」と意気込み、横尾さんは「私は今、大学4年生で、学生最後の年にこのような賞をいただけて、今までずっと、親も友達も周りに内緒でちまちま書いて、コンクールに落ちまくってきた自分に(笑)、ちょっとご褒美をもらえたなと思っています。これからが一番大事だと思うので、もっと書き続けて、将来、物書きになれるように頑張りたいと思います」と決意を表明。山崎さんは「セリフやリズムを楽しんで、あまりテーマには関係なく書いたものが、このように評価されて、フジテレビさんの懐の深さをとても感じました(笑)。初めて今、スタートラインに立てたなと思っておりまして、今後何があっても食らいついていこう、というのが今日の心境でございます」と率直な思いを明かした。

最後に、澤田氏は「大賞を含めこの4作品の作者には、今回の受賞をきっかけに将来のテレビ、映画をはじめとするエンタメ界を背負う逸材として大きく飛躍していただけることを期待したい。とにかくバットを振り続けてほしい」と期待を寄せた。

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