「泣く子はいねぇが」 余貴美子の演技を佐藤監督が絶賛 脚本をバイト休憩中に執筆の裏話も 公開記念イベント

11月20日に公開された映画「泣く子はいねぇが」の映画公開記念舞台あいさつが28日に行われ、佐藤快磨監督と主人公の先輩を演じた田村健太郎さんが登壇。一緒に映画館でバイトしていた時の話や本作で好きなシーンなどについて語った。

かつて新宿の映画館でバイトしていたという2人。バイト時代の佐藤監督について聞かれた田村さんは、休憩中に佐藤監督が本作の脚本を執筆していたという裏話を披露。さらに、是枝裕和さんが率いる映像集団「分福」で監督助手を募集していることを教えたのも田村さんだったことを明かし、「僕はこの作品にかなり貢献していますよ!」と胸を張り、会場の笑いを誘った。オファーを受けた時は「これだけ貢献していてオファーされなかったら寂しかったですけど(笑)」と笑いをとりながらも、「もともと太賀君や佐藤監督のファンでもあったので、とても嬉しかったです」と率直な喜びを明かした。

バイト時代の佐藤監督について聞かれた田村さんは「ボーっとしてることが多い」と即答し、観客は爆笑。悪い意味ではなく他人に緊張感を与えないという意味であることを説明し、現場でも自然と周りがアイディアや意見を出しやすくなるなど、監督の人間性から本作が生み出されていった様子を語った。

話題は本作の好きなシーンに。田村さんは主人公たすくの母・せつ子とたすくの元妻・ことねがパチンコ屋で会うシーンを挙げた。佐藤監督も同様にパチンコ屋のシーンを好きなシーンに挙げ、せつ子が発するセリフから、登場人物たちが「正しいと思うように生きられていないという苦しみ」を持っていることを表現できたと、せつ子を演じた余貴美子さんの演技を絶賛した。

「泣く子はいねぇが」は、親になることからも大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描いたオリジナル作品。本作が劇場デビュー作となる佐藤快磨さんが、秋田県・男鹿半島の伝統文化「男鹿のナマハゲ」から、“父親としての責任”“人としての道徳”というテーマを見いだし、監督のみならず脚本・編集も手掛けている。また、佐藤監督の才能にほれ込んだという是枝裕和監督が企画として参加している。9月に行われたサン・セバスティアン国際映画祭(スペイン)では、最優秀撮影賞を受賞している。

泣く子はいねぇが
11月20日(金)より新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

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