通常、予選後に開かれるトップ3ドライバーによるFIA会見は、終わったばかりの予選に関する質疑応答が繰り広げられる。しかし、今回の2020年F1第15戦バーレーンGP予選後のFIA会見は、予選以外の話題で話が盛り上がった。それは金曜日にテストしたピレリの2021年用タイヤについてだ。
今回のバーレーンGPでは、金曜日のフリー走行でピレリが2021年用に確定した新しいタイヤを持ち込み、各チームがテストを行っていた。しかし、試走したドライバーからの評判はすこぶる悪かった。
予選後の会見で、あらためてピレリの新しいタイヤについて尋ねられると、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は「まあ、テストしたことは悪くなかった。いろんな発見があったし、いろいろ学べたから」と予想外に控えめな発言だった。
というのも、ハミルトンは金曜日のフリー走行後、「2年も時間があったのに、こんなタイヤしか開発できなかったのか。いまのタイヤのままでいい」と、新しいタイヤをこき下ろしていたからだ。
すると、横にいたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はこう言って、会話を盛り上げてきた。
「僕は昨日のプロトタイプ(正しくはFIAによって承認されたホモロゲートタイヤ)でのドライビングを楽しんだよ」
ハミルトンが驚いた表情で「えっ、君はあのタイヤを気に入っているの?」
フェルスタッペンが笑ってこう返した。
「いいや、運転は大変だったよ。でもね、あなた(ハミルトン)の後ろを走っていたら、すごいモノを見たからね。それが楽しかったんだよ!!(笑)」
それを聞いたハミルトンは、ようやくフェルスタッペンの答えの真意がわかり、笑ってこう答えた。
「ああ、あのドリフトね」
最後に、フェルスタッペンがこう締めた。
「このタイヤだったら、来年はドリフト選手権にすべきだね」