第2回SB-Jフォーラム2020分科会「ブランドと親和性の高い 9 Sustainable Behaviorsは?」

(電通Team SDGs)

サステナブル・ブランドの法人会員コミュニティ「SB-Jフォーラム」は17日、2020年度の第2回目分科会を開催した。株式会社 電通 グローバル・ビジネス・センター、電通Team SDGs、電通 GIRL’S GOOD LABをコラボレーターに迎え、グローバルイニシアティブ「ブランズ フォー グッド」に焦点を当てる。第2回はブランズ フォー グッドで分析された、地球と社会に必要とされる9つの消費者行動について解説。自社、ブランドが9つの中のどの領域と親和性が高いのか、そして取り組みをどう進め、その中での課題をどう捉えるのか、ワークショップを行った。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

参考記事:
「リジェネレーション」を実現するには――2020年度 第1回SB-Jフォーラム

第1回SB-Jフォーラム2020分科会「7Need Stateをコンパスに、Z世代に出会う旅」

サステナビリティ、ソーシャルグッド、多様性、国際協調への消費者の興味・関心が一気に、そしてかつてないほど高まっている。新型コロナウイルスのパンデミック、Black Lives Matterといった社会問題が突き付けられ、消費者は「ブランドが何を表明して何を支持しているのか」を選択の視点として持つようになっている。

「65%の消費者は、購入によって、企業が良い行いを続けることに影響を与えられると信じていると回答している。一方で、その回答者のうち1/3以上が、実際にアクションを起こしているブランドを想起することは難しいと答えた」と電通の丸茂智沙氏は説明する。つまり、消費者のマインドが変化する中、ブランドと消費者のコミュニケーションにも変革が求められている一方で、それが難航している、とも言えるというわけだ。だからこそ、ブランドの骨格となるパーパスを確立するためにBfGを活用することが推奨されるという背景がある。

ブランズ フォー グッド のツールキットは、「人が必要とするもの」「地球・社会が必要とするもの」「ブランド独自の提供価値」の3領域から構成されると分析されており、3領域が重なる「Idea Canvas」での価値創造を目指している。前回、第1回分科会では「人が必要とするもの」に焦点を当て7つの価値観「 7 Need State」を解説した。

第2回分科会では「地球・社会が必要とするもの」にフォーカスした。BfGで定義される9つの「持続可能な消費者行動」を知り、ブランドの視点に立ち返ったときに、消費者のどのような行動に対して力を発揮できるのか、そのときの課題は何かを考える。

持続可能な9つの消費者行動

池田百合氏(右上ワイプ) 出典:United Nations Population Division, World Population Prospects, the 2017 Revisionより(当日資料:電通Team SDGs)

「背景にある大きな課題は世界人口の増大と温室効果ガスによる気温上昇だ」と説明するのは電通チームSDGsの池田百合氏。アジア、アフリカなどの現在の発展途上国を中心に、世界の人口は今後爆発的に増え、2050年には約95億人になると言われる。それに伴って、水や食料、エネルギーの不足が予測される。その中で2050年、パリ協定で言われる「産業革命以前に比べて1.5度未満」の気温上昇に抑えるためには、温室効果ガス排出量を全体で年間に約7.6%ずつ削減しなければならない。2020年はコロナ禍によって削減量が増えているが、それでも役6%の削減量となる見込みだという。

ブランズ フォー グッド では地球と社会に必要とされる9つの消費者行動を提示している。なぜこの9つなのか。池田氏は「世の中をよくするためのブランドとして選択されるには、社会貢献的ではなく、『企業のドメインにふさわしく、かつ消費者を巻き込める効果的な取り組み』という視点が重要になる」という。これら9つの消費者行動は2017年、米国で実施された調査と、専門家の意見によって設定された。

(当日資料:電通Team SDGs)

「気候変動を巻き戻す」と「くらしの資源保持」に分類されるのは、地球の気温上昇を抑え、またそのための仕組みをつくる消費者の行動。そして「しなやかな社会」に分類される行動とは、「まさにSDGsの『誰一人取り残さない』ということ」(池田氏)だ。

池田氏はさらに、一つひとつの消費者行動について、グローバル企業を中心とした具体的な事例を示しながら詳細を解説した。

WORK:消費者行動に対するブランドのアクションと連携

グループワークでは、それぞれの参加者が自社、ブランドと親和性が高い消費者行動をひとつ選択し、その取り組みと課題について考えるだけでなく、ほかの参加者の発表との共通課題、連携が必要な領域について探った。オンラインでのワークだが、グループ内でのディスカッションにはツールを用い、リアル同様の書き込みを共有しながら進行した。

違う事業領域の企業に所属する参加者が「9つの持続可能な消費者行動」の中で共通の課題を選択し、意外な連携の糸口が見つかったり、また違う消費者行動へのアプローチでありながら、2つ領域をつなぐ連携による課題解決のアイデアが発表されるなど、参加者は各々、自社の活動を見直しながら新たな視点を得るきっかけを得たようだ。

次回、第3回 SBJフォーラム2020分科会は1月19(火)13:30~15:00 にオンラインで開催します。ブランズ フォー グッド の「アイデア・キャンバス」のフォーマットを援用し、「7NEED STATE」「9 Sustainable Behaviors」と参加企業様それぞれのブランドパーパスとの交点となる施策を導出するワークショップを行います。(内容は予告なく変更する場合があります)。

<お問い合わせ>
分科会の参加はフォーラム会員企業様に限定していますが、ご興味のある方は事務局までお問い合わせください。
SB-Japanフォーラム事務局(株式会社博展) 
E-mail: forum@sustainablebrands.jp

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