2020年 スーパーGT 第8戦 富士スピードウェイ[GT500]
山本尚貴/牧野任祐(RAYBRIG NSX-GT/BS)が逆転勝利でチャンピオンに輝く!
開催場所:富士スピードウェイ 開催日:2020年11月28日(土)~2020年11月29日(日)
史上稀に見る僅差のチャンピオン争いで迎えた2020年の最終戦は富士スピードウェイを舞台に行われた。富士スピードウェイをホームコースとしているトヨタのスープラ勢が予選を席巻。平川亮/山下健太(KeePer TOM’S GR Supra/BS)がポールポジションポイントを加算して単独ランキングトップで決勝を迎え、決勝でも主導権を握ってチャンピオン獲得へ突き進んでいた。
しかし最終盤にガス欠状態となり、とうとう最終周の最終コーナーを立ち上がって失速。予選7番手から順位アップし2番手まで追い上げて来ていた山本尚貴/牧野任祐(RAYBRIG NSX-GT/BS)がトップを奪ってゴール。優勝とともに激戦のチャンピオン争いを制した。
<予選>
富士をホームコースとするトヨタのスープラが主導権を握って予選は展開した。寒風が吹くなか、路面温度が20度に至らないタイヤにとっては厳しい状況のなかの予選だった。この時期にスーパーGTのレースが富士で行われたことはなく、タイヤメーカーにとってもチャレンジングなタイムアタックだった。
Q1においてQ2に進出できるトップ8中6台がブリヂストンタイヤ装着車で占められた。そして、トップから4番目までがブリヂストンユーザーのスープラだった。ランキングトップタイの平川亮(KeePer TOM’S GR Supra/BS)がトップタイムを叩き出し、これにチームメイトのサッシャ・フェネストラズ(au TOM’S GR Supra/BS)が続いた。
Q2においてもスープラとブリヂストンの優位は変わらなかった。第7戦からニック・キャシディに代わってKeePer TOM’Sのステアリングを握っている山下健太がコースレコードを更新する快走でポールポジションを獲得。
ポールポジションポイント1点を加算して、平川はランキング単独トップに立って決勝を迎えることとなった。トップ4をスープラが占め、そのすべてがブリヂストンユーザーだった。
<決勝>
決勝日は朝から雲に覆われ、予選日よりも気温/路面温度が低く完全に冬の様相だった。タイヤのウォームアップが考慮されて3周のフォーメーションラップの後にレースがスタート。
6番手スタートの松田次生/ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R/MI)が一気にトップを奪ったが、6周目にはポールスタートの平川/山下組がトップを奪い返し、後続との差を周を重ねる毎に広げていった。11周目にはチームメイトの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ(au TOM’S GR Supra/BS)が2番手に浮上、トムスチームのワン・ツー体制となった。
ドライバーの最低義務周回数がクリアーされた22周を過ぎて各車がピットインしてドライバー交代。トムスの1-2に割って入って来たのが山本/牧野組だった。そして終盤に入ってトップと2番手の差が詰まり始め、あと数周を残してトップの平川/山下組のガソリン残量警告が表示されてしまった。
ゴールまでは何とか走りきれると判断していたが、最終ラップの最終コーナーを立ち上がってストレートに出たところで失速、背後に迫って来ていた山本/牧野組がそれをパス。平川/山下組は力なく2位でゴールラインを切った直後にストップしてしまった。これによって、山本/牧野組は優勝とチャンピオンの座を手にして2020年シーズンを締めくくった。
■<優勝/チャンピオンドライバーコメント>
山本尚貴
「こんなにドラマチックな展開になるとは自分でも予想しませんでした。予選は思うようにいかなかった部分はありましたが、決勝で(牧野)任祐が順位アップして渡してくれて勝てることを信じて走りました」
「ホンダさんをはじめ、ブリヂストンさん、チームの皆さん、ここまで支えていただいたスポンサーさん。そしてコロナ禍のなかで大変ななかで応援していただいたファンの皆さんの前で勝って、チャンピオンを獲得できました。ありがとうございます」
牧野任祐
「GT500クラス1年目で、(山本)尚貴さんに頼るばかりの自分でしたが、最終戦で初優勝できてチャンピオンも獲得することができました。ホンダさん、ブリヂストンさん、そしてチーム、ファンの皆さんに支えられてシーズンを最高の形で終えることができました。ありがとうございます」
<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:山本貴彦のコメント>
「TEAM KUNIMITSUさんの優勝そして、チャンピオン獲得おめでとうございます。ゴールまで数百メーターというところで劇的な結末が待っていました」
「今回用意したタイヤは少ないながらも過去に冬の時期に行ったテストのデータなどを集結しました。山本/牧野組と平川/山下組のタイヤは同じ、3位の関口/フェネストラズ組はやや柔らか目」
「また、500クラスでは稀な無交換作戦を前戦優勝の野尻智紀/福住仁嶺(ARTA NSX GT/BS)が敢行するなど、色々な作戦に対応できるタイヤを提供して優位性を発揮することができ、チャンピオンを獲得することができました」
2020年 スーパーGT 第8戦 富士スピードウェイ[GT300]
吉田広樹/川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT/BS)がポール・トゥ・ウイン! 藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産自動車大学校GT-R/YH)がチャンピオンを獲得
開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2020年11月28日(土)~2020年11月29日(日)
2020年シーズンの開幕戦を制した吉田広樹/川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT/BS)がポールポジションから圧倒的な速さでクラスのすべてのマシンを周回遅れにして優勝。チャンピオンの栄冠は2位フィニッシュした藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産自動車大学校GT-R/YH)の頭上に輝いた。
2019チャンピオンの蒲生尚弥/菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG/BS)は、4位フィニッシュしてランキング3位でシーズンを終えた。
<予選>
ランキング上位陣と富士スピードウェイを得意とするチームが入り混じってのポールポジション獲得合戦が展開された。ランキング4位の吉田/川合組がQ1のAグループで2位通過。そしてBグループでは、第2戦の同じく富士でポールポジションを獲得している阪口良平/小高一斗(ADVICS muta MC86/BS)がトップ、これにランキング2位の蒲生/菅波組が続いた。
路面温度が低くタイヤが温まりにくい厳しいコンディションながら、決勝のスターティンググリッドを決めるQ2で驚速の速さを見せたのが開幕戦の富士でデビューウィンを飾ったスープラだった。従来のコースレコードタイムを1秒以上更新した吉田/川合組は初ポールポジションを奪取。
2番手には井口卓人/山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT/DL)。3番手に阪口/小高組。蒲生/菅波組は5番手グリッドからチャンピオン獲得へ向けてスタートすることとなった。
■<決勝>
気温は10度を下回り、路面温度も13度という厳しい状況下で3周のフォーメーションラップの後に決勝のスタートが切られた。セカンドグリッドスタートの井口/山内組が一気にトップを奪うが吉田/川合組は9周目にはトップを奪い返し、そこから一気に後続を引き離すハイペースで快走した。
レースの序盤には決勝中のファステストラップタイムを連発。28周してスタートドライバーの川合がピットイン。吉田に交代しタイヤは無交換、ガソリンを補給しただけでふたたびレースに復帰した。トップの座は変わらず、終わってみればクラス内すべての車両を周回遅れにするという圧倒的な速さを示して優勝。
一方、チャンピオン争いは蒲生/菅波組と藤波/オリベイラ組との間で演じられた。レース中盤から順位アップして来た藤波は54周目にライバル蒲生組をパスして2位へ上がり、そのままのポジションでゴールしてチャンピオンを獲得した。
<優勝ドライバーのコメント>
吉田広樹「開幕戦で勝って自らハードルを上げ、その後に勝てませんでした。タイヤ無交換のためにブリヂストンに良いタイヤを供給していただいていたのに自分たちのミスで勝てなかった」
「今回タイヤに優しいセッティングをチームがしてくれて、平沼代表が周りの状況をスポッターとして知らせてくれて、チームの総合力で勝てて、その気持ちに応えることができました。チャンピオンを獲れなかったのは悔しいですが、来年は絶対に獲ってやります」
川合孝汰
「フォーメーションラップでうまくタイヤを温めることができずに抜かれてしまいました。でもタイヤが温まってきたらペースを上げることができて、トップを奪い返すことができました」
「しかし、タイヤを少し酷使してしまって、吉田さんに少し辛い思いをさせてしまったと反省しています。素晴らしいクルマに仕上げてくれたチームとブリヂストンタイヤ。緊張をほぐしてくれたスタッフさん、そしてスポッターまで買って出てくれた平沼さん。チームの皆さんの期待に応えることができました」
「今年多くを学ばせていただいたことをこれから良い成績を出せるように生かしていきます」
<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:山本貴彦のコメント>
「正に圧倒的な速さで吉田/川合組が優勝しました。サポートさせていただいたタイヤもこの寒いコンディションのなかで無交換作戦に完璧に対応できました」
「本当にひとり旅という状況でした。チャンピオン争いでは追い上げてきた藤波/オリベイラ組がタイトルを獲得しましたが、優勝チームをはじめサポートチームのパフォーマンスは高かったと思います。来シーズンは、ふたたびタイトル獲得に向けて努力します」