「泣きの涙や、本当は」新型コロナの影響で…地元に愛された個性派すし店が閉店 高松市

新型コロナウイルスの影響で多くの飲食店が苦境に立たされています。「すし店」のはずなのに常連客のリクエストで様々なメニューを増やすなど地元に愛された高松市の店も11月28日、56年続いた営業をひっそりと終えました。

高松市太田上町「太田屋寿司」 11月27日

「やめるって言ったら叱られる」地元に愛された個性派すし店

11月27日、高松市太田上町にある太田屋寿司。

太田屋寿司 店主/山上仁さん

(太田屋寿司 店主/山上仁さん)
「(Q.これだけ長い間やってたら常連さんは多い?)4代続いて来よる人おる。一番長いのは親子5代続いて来よる。(Q.やめるって言ったときは?)怒られたんよ、何を言うんよって。やめるって言ったら叱られるばっかり」

若い頃の山上さん

店主の山上仁さんは今年で83歳。中学を卒業後、料理の道へ。大阪で働いていた時に、高松市で食堂を営む男性に引き抜かれ香川へ、そして1964年に独立しました。

すし店なのに…人気メニューはオムライスにとんかつ、お客さんに愛された“理由”

「太田屋寿司」は、すし店のはずですが、店内のメニューには…

すし店のはずだが、メニューには見慣れない言葉が

(太田屋寿司 店主/山上仁さん)
「(Q.人気のメニューは?)一番多いんはね、うちはねオムライスととんかつと刺身とから揚げとかもね。でね、リクエストするんです、『おい、ぼちぼちカレーしてくれるか?』『餃子欲しいで』リクエストが出てくるんですよ」

新型コロナの影響で客が半減…閉店を決意

観光客など県外からの客も多かったといいます。
しかし、新型コロナウイルスの影響で客は半減…閉店を決めました。

店主の山上さんと40年来の常連客

(40年来の常連客は―)
「もうやめるっていうけんな、もう死んだんかと思った。体調もあるやろうけどな名残惜しいわな、どっちかと言ったらの。そやからな誰かがやってくれたら、またええんやけどな、交代でな2代目で」

地元に愛された「太田屋寿司」

(太田屋寿司 店主/山上仁さん)
「日本の困っとる飲食店の、ここも同じようになってきたいうことをね、わかってもらわないかんと思っとる。もうね、56年に終止符です。泣きの涙や、本当は」

11月30日、太田屋にはお店の片付けを進める山上仁さんの姿がありました。

「お客さんのおかげでここまでこれた」

片付けを進める山上さんの目には涙が

(太田屋寿司 店主/山上仁さん)
「もう片付けで何かなしになっていく度に涙が出よる。のれん外した時が一番涙が出た、もういけませんわ。やれやれというのが半分、残念いうのが半分です。もう皆さんにお世話になって、私一人だけでいったもんではないけんな、お客さんのおかげでここまでこれたから。大変お世話になりました」

56年続いた営業に終止符

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