エンゼルスのイグレシアス獲得が移籍市場に与える影響は?

エンゼルスは日本時間12月3日、オリオールズとのトレードが成立したことを発表し、新たな正遊撃手としてホゼ・イグレシアスを獲得することに成功した。投手陣に大きな不安を抱えるエンゼルスにとって、補強ポイントの1つだった遊撃手の補強を年俸350万ドルのイグレシアスで済ませることができた意味は非常に大きい。なぜなら投手補強のために多くの資金を残すことができたからだ。エンゼルスのイグレシアス獲得は今後の補強プランや移籍市場の動向にどんな影響を与えるのだろうか。

今季のイグレシアスはオリオールズで39試合に出場して打率.373、3本塁打、24打点、OPS.956の好成績をマーク。オリオールズがシーズン終了に来季の契約オプションを行使していたため、来季の年俸は350万ドルで確定している。二遊間のどちらかのポジションをデービッド・フレッチャーに任せるとして、フレッチャーと二遊間コンビを形成する内野手をフリーエージェント(FA)市場から獲得しようとすれば、この価格では獲得できなかっただろう。イグレシアス獲得によってエンゼルスは投手補強のために多くの資金を残すことができ、また、マーカス・セミエン、ディディ・グレゴリアス、DJ・レメイヒューといった内野手は補強リストから消えたと思われる。

イグレシアスの年俸を加えると、現時点でのエンゼルスの年俸総額は約1億5600万ドルとなり、今季と同等の水準まで2000万ドルほど、ぜいたく税ラインまでは5000万ドルほどの余裕がある。来季限りでアルバート・プーホルス、2022年限りでジャスティン・アップトンの大型契約が終了するため、エース級の先発投手を獲得することも十分に可能だ。近年は中堅クラスの先発投手を複数獲得する補強戦略をとってきたが、トレバー・ケーヒル、マット・ハービー、フリオ・テーランなど失敗のほうが多く、トレバー・バウアー獲得へ舵を切ったとしても決して不思議ではない。

シモンズ、グレゴリアス、セミエンといったFAの遊撃手にとって、遊撃手補強を必要とするチームが1つ減ったことは大きな痛手だ。グレゴリアスがFAとなったフィリーズ、セミエンがFAとなったアスレチックスのほか、レッズも遊撃手補強を必要としており、ヤンキースやジャイアンツも遊撃手補強に動く可能性があると見られているが、複数のスター遊撃手がFAとなる1年後のオフまで待つチームが現れる可能性もある。現在FAの遊撃手にとっては厳しいオフシーズンとなるかもしれない。

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