「トイレ」を徹底解剖!便座の温度設定は何度がベスト?使い方から手入れの仕方まで

家の中で、毎日何度も使用する場所のひとつが「トイレ」。かつて主流だった「和式トイレ」も今や国内に於ける三大都市圏の保有率は10%を切り、大半の家庭では「洋式トイレ」となり、“温水洗浄便座”が加わるなど、快適さや便利さ、機能性なども日々進化しています。

新型コロナウィルス流行の影響で在宅時間も増え、使用頻度もさらに上がっている家庭も増えている一方で、ベストな使い方や備わっている機能についてはあまり知られていなかったりします。排泄物を流す場所なだけに、お手入れやお掃除方法などもきちんと知っておきたいですよね。

そんな気になる「トイレ」のアレコレについて、総合家電エンジニアの資格を持ち、ご自身も家電量販店に足繁く通っているという”家電スペシャリスト”の本多さんに聞いてみました。


温水洗浄便座とは、 便座を暖める、お尻の洗浄、ビデ、乾燥、節電など

“温水洗浄便座”とは、その名のとおり便座部分にお尻を洗浄したり便座を暖めたり、さらに便座蓋を開閉させる機能などが備わっています。

冬場も暖かく便利な”温水洗浄便座”の気になるところといえばやはり”電気代”かと思います。確かに、常時通電タイプのものや、専用タンクに溜めた水から温水を作る貯湯式のものは、省エネ効果が低いと指摘されることも多くありました。しかし最近では、使用していない時間帯をマイコンが記憶してその時間帯は自動的に電力を抑える設定に切り替えたり、使うときだけ通電して瞬時に便座を暖めることのできる仕組みが登場するなど、メーカー各社の省エネ機能は大きく向上しています。

使用者がトイレに近づいたことを検知するセンサーを設けて、その検知から短時間内で便座を暖めるという仕組みです。トイレのドアを開けてから便座に座るまでの所要時間は平均6秒とされており、どこのメーカーも着座までの6秒間で便座を暖められる性能を目指しました。高水準な省エネ性能が備わった温水洗浄便座であれば、この”瞬間暖房式”が採用されているかと思います。買い替え時などはあらかじめ、確認することをオススメします。

便座おすすめの温度設定は?

温度設定は、「節電モード」を活用することが一番のお薦めです。メーカー各社の技術や解釈は異なりますが、省エネ性能を向上させようとする熱意は同じです。

使用していない時間帯は最小電力に切り替えるなど、その技術力を結集する「節電モード」を有効活用しないと、無駄な電力を消費していることになります。てください。マイコンが温水洗浄便座の使用頻度を監視しています。また、便座の蓋は開けておくよりも閉めておくようにしましょう。蓋を閉めておくことで保温している熱が逃げてしまうことを防いで、便座保温機能に於ける断熱性を向上させるとされています。さらに、厚生労働省の案内では「蓋を閉めてから水を流す」行為も推奨されています。細菌の感染を防げるかなどの立証はされていませんが、蓋を開けたまま水を流すことでの飛散を注視してのことかもしれません。

メーカー各社が実験と研究を繰り返すことで、近い将来に細菌の感染などを抑制できる製品が発表されるかもしれませんね。

温水洗浄便座って何?

冬場などは特に、冷たい水でお尻を洗浄するのは辛いですよね。なので基本的には、温水で洗浄するための機能が備わっています。

これまでは、専用のタンクに溜められた水をヒーターで温めておく貯湯式が大半でした。貯湯式のデメリットは専用タンクの温水が無くなると水しか出なくなってしまい、水を溜めて温水ができるまでも一定の時間が必要なところ。

最近では、水がヒーター部を通過する度に瞬時で温水を作ることができる”瞬間式”というのがあります。高効率なヒーターを採用しているので価格は上がりますが、温水切れの心配はありません。家族で使う場合などはこちらを検討するのも良いでしょう。また、洗浄機能には「お尻」と「ビデ」のスイッチが設定されているものが大半です。

「ビデ」の用途に疑問を持つ方もいるようですが、これはイタリアやフランスなどの西欧で”婦人用”を意味します。なので「女性専用の洗浄機能」としてお使いください。“洗浄機能”と併せて付いている”乾燥機能”ですが、あまり活用していないという声が多かったからか、最近ではついていない温水洗浄便座が多く見られるようになりました。”乾燥機能”が備わった温水洗浄便座が欲しい場合は上位機種に限られると思いますのでご注意ください。

ウォシュレットの掃除ってどのくらいの頻度ですべき?

ウォシュレットのノズルまわりの掃除は、目安として、月に一回程度はしておくと良いでしょう。リモコンに「ノズルお掃除」スイッチがあるかと思います。取扱説明書を熟読のうえ、正しくお掃除してあげてください。

便座や便器本体は、汚れに気がついた時点で直ぐにお掃除することを心がけることが良いと思います。汚れが酷くなってからのお掃除はなかなか落ちなかったりしてとても大変ですが、普段からこまめに掃除していれば、水で濡らして充分に絞った柔らかい布で拭き取るだけで汚れは落ちるでしょう。汚れが落ちにくいときには、台所用中性洗剤を使いましょう。ただし、間違っても酸性のケミカル剤は使わないこと。

塗装の変色や剥がれ、各部の錆や腐食を誘発します。また、硬いブラシや研磨剤を含んだもの、フッ素系の洗剤などを使うこともNGです。特に注意すべき部位は便座の合わせ目でしょう。便座は、内部にプリント基板や配線、ヒーターを内蔵させるため、上下に分割して形成された便座を結合させる「モナカ構造」の製造法が採用されています。結合部分に酸性のケミカル剤などが浸透すると、便座塗装面の剥離や内部腐食を起こさせる原因となります。結合部分を消し込んだタイプであっても同様に注意しましょう。

また、電源プラグも見落とされがちですが、埃が溜まると発火する恐れもあります。取扱説明書を熟読のうえ、お掃除の際には忘れないように注意しましょう。

脱臭機能、本当に臭いは消えるの?

便座付近にファンモーターが据えられています。扇風機の羽を逆にした形状となっているため周辺の悪臭を吸い込むことができます。

吸い込まれた悪臭は脱臭フィルターを通過しますので、ここで悪臭が取り除かれる仕組みとなっています。トイレルームの悪臭は主にアンモニア、硫化水素などが原因です。これらの悪臭を取り除くにはセラミック系の脱臭触媒が使われていることと思います。セラミック系の脱臭触媒は、アンモニアや硫化水素を分解することに長けていますが、食品や食材そのものの臭いを分解することは難しいので、大蒜の臭いなどを除去することはできません。

前述のとおり、明らかにアンモニアや硫化水素などへの脱臭効果が弱まっている場合や、脱臭音が大きくなってきた場合がお掃除の目安です。

意外と盲点!忘れがちな掃除ポイントは?

前述の脱臭フィルターや、給水フィルターが備わった水抜栓は見落とされがちですが、定期的にお手入れが必要な部位です。

取扱説明書に従って正しく行なってください。汚れが酷い場合には自身での交換も認められた部品ではあります。給水フィルターの場合は水の勢いが弱く感じたときがお手入れや交換の目安になると思います。脱臭フィルターは明らかに脱臭効果が弱まっている場合や、脱臭音が大きくなってきた場合などが目安でしょうか。いずれも、取扱説明書やメーカーホームページなどで確認するようにしましょう。


脱臭機能の詳細など、意外と知らなかった部分も多いのではないでしょうか? 神様が宿るとも言われる「トイレ」。毎日気持ちよく過ごすためにも、正しくきれいに使うように買った後に「やっぱり他のにすれば良かった……」とならないよう、まずは必要な条件や機能を書き出して、それに合った種類から選んでみましょう。

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