本来の「三密」は? 密住職「大切なことが説かれている」兵庫・三木の蓮花寺

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空海の教えを紹介する密祐浩住職=三木市口吉川町蓮花寺

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった2020年。感染症関連が目立った新語・流行語大賞では、「3密」が年間大賞に輝いた。感染拡大を防ぐために避けるべき行動(密閉、密集、密接)を指す言葉だが、本来は真言宗の大切な教え。蓮花寺(兵庫県三木市口吉川町)の密祐浩住職(58)は「本来の意味も正しく伝わり、人々が力を合わせて乗り越えられる世の中であってほしい」と願う。(大橋凜太郎)

 年間大賞の「3密」は国が掲げた標語で、受賞者は、記者会見で「NO!!3密」と呼び掛けた小池百合子東京都知事。略して「密を避ける」と表現されることもあり、感染対策の考え方として根付いた。

 言葉が浸透するにつれ、名字について「3密の密ですね」と指摘されることが増えたという密さん。名字は真言密教に由来すると考えられるため、「何とも言えない」と複雑な心境だ。

 密さんによると、本来「三密」は悟りを得るために必要な知恵。手を合わせる「身密(しんみつ)」や、真言やお経を唱える「口密(くみつ)」、仏の心を抱く「意密(いみつ)」のことで、真言密教の教理の神髄だという。

 日々の生活に落とし込むと、うそやきれい事を言わず、真心を持って人と接することをいう。密さんは「人生を豊かにするために大切なことが説かれている」と力を込める。

 人との触れ合いもはばかられる今の状況に「そもそも、『新しい生活様式』という言葉もおかしい」と疑問を呈する密さん。「感染拡大を防ぐための生活様式であって、今は異常事態だ」と強調。「出会って話をして心がつながる。流行語になった『3密』は、本来避けてはならないことで、収束後は元の状態に戻らないと」と話している。