原因が分からない…浮かび上がる“多重苦” 被害者の「声」

カネミ油症被害者支援センター アンケート<2>

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検診で採血される患者。血中のダイオキシン類濃度を重視する油症認定基準が次世代被害者の認定を阻む

 体調不調の原因が分からない。仕事も満足にできず、医療費だけかさむ-。カネミ油症被害者支援センター(YSC)による次世代被害者アンケートを読むと、人生全体を覆う“多重苦”が浮かび上がる。

■薬を飲むしか
 「仕事をできる状態ではなく、ただ薬の服用を忘れないことが自分にできることのよう。この若さで毎日不安でいたたまれない生活。どうして数値に出ないのか」(51歳男性)
 油症は、カネミ倉庫(北九州市)製食用米ぬか油に、鐘淵化学工業(現カネカ)製ポリ塩化ビフェニール(PCB)や、これが変化したダイオキシン類が混入し発生。年1回の認定診査では血中ダイオキシン類濃度が重視されるが、汚染油を直接食べていない次世代の数値はおおむね低く、大きな壁だ。カネミ倉庫による医療費補償は認定患者が対象で、次世代の大半は自己負担を続けている。
■治療せず悪化
 「(視覚障害があり)あんまと親の仕送りで生計を立てている」(46歳男性)「体がしんどく仕事が続かない。現在無職」(50歳女性)「1週間に3日くらい仕事に行く。ときどき具合が悪くなり休む」(20歳男性)など、体調によって就ける仕事が限られたり退職したりするケースも多い。
 同時に医療費が生活を圧迫している。31歳女性は「医療費がかさむのが心配で(通院を)我慢することが多く重症化することもある」。金銭面の不安から十分な治療を受けられず、さらに体調が悪化して収入も減る-という悪循環だ。
■子を産む怖さ
 次世代被害の十分な研究や調査をしてこなかった国や全国油症治療研究班などへの怒りも読み取れる。
 「将来にとても不安を感じ、結婚しても被害(の連鎖)が怖くて子どもを産むことに決心がつかない。カネミ油を食べた親から産まれたのに、なぜ救済してくれないのか」(35歳女性)「科学的な知見がないと(次世代を認定)できないとなると、もはや医学だけでは(救済)できない。今思うと泣けてくる。血中濃度だけでなく、総合的に判断してほしい」(49歳男性)
■健康を知らず
 ある親は30歳の娘の言葉を記す。「子どもが『油症はお母さんの時代で終わりなのかな』と言っている」
 親と子それぞれの油症。皮膚、婦人科系などを患う3人きょうだいを育てた母親は、自らの悔恨を示している。「自分も知らずに(汚染油を)食べたけれど、子どもたちに同じ苦しみをさせている。子どもたちは健康な生活が分からない」

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