【追記】晴れて角田裕毅が優勝。シーズン5位以上を確定【FIA-F2第12戦バーレーン レース1】

 12月5日(土)、2020年FIA-F2第12戦バーレーンのフィーチャーレース(決勝レース1)がバーレーン・インターナショナル・サーキットの高速レイアウトで開催され、日本の角田裕毅(カーリン)が優勝した。

【追記1】
 レース終盤に角田はホームストレートエンドでニキータ・マゼピン(ハイテックGP)を追い抜く際にコース外に出てアドバンテージを受けた可能性があるとしてレース後の審議対象となっており、リザルトは暫定となっている。

【追記2】
 角田がコース外に出たのはマゼピンに押し出されたためと判断されペナルティなし、晴れて優勝となった。マゼピンは角田とフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)に過剰なブロックを行ったとして5秒加算ペナルティを2回、リザルトに10秒が加算された。これによりドルゴヴィッチが3位表彰台を獲得した。

 レース開始前におけるシリーズポイントランキング上位6台の選手権ポイントは次の通りだ。

首位:ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)/205点2位:カラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)/191点3位:ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)/162点4位:角田裕毅(カーリン)/161点5位:ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)/157点6位:クリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)/149点

 気温25.5度、路面温度32.6度でドライコンディション。規定周回数は48周、タイヤ交換を伴う1回のピットインが義務付けられ、ソフトとハードが選択された。

 ポールポジションには角田、2番手はマゼピン、セカンドロウは3番手にユアン・ダルバラ(カーリン)、4番手にシュワルツマン。そして佐藤は12番手から、予選で接触を起こしたポイントリーダーのシューマッハーは18番手スタートに。また上位勢はソフトタイヤを装着した。

 昨日の予選よりも3時間35分早い、現地時間15時10分にフィーチャーレースのフォーメーションラップが開始した。

 そしてレースはスタート。角田は蹴り出しこそ悪くないもののインを取ったマゼピンが1コーナーで角田のインを差し首位へ浮上。さらにシュワルツマンも2番手までポジションを上げ角田は3番手でオープニングラップを完了。後方では6番手スタートのルンガーが21番手まで後退してしまった。

 4周目、痛恨の18番手スタートとなったシューマッハーが得意のスタートとトウを活用し13番手まで順位を押し上げる。また上位10台はそれぞれ0.7秒ほどの間隔をキープしながら3.542kmのコースをハイペースで周回していく。

 上位勢に変動が出たのは9周目のホームストレート。5番手を走行するフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)がアーテム・マルケロフ(BWT HWAレースラボ)のスリップストリームを使い1コーナーでオーバーテイク。前戦レース1の覇者は2.3秒前の角田を追いかけることとなった。

 その角田はコツコツとシュワルツマンとの差をつめ、1コーナーでの追い抜きを試みる。2台は時折サイドバイサイドになりながらもスペースをきっちりと確保したクリーンなバトルを展開。そして13周目の1コーナーで角田は2番手に浮上。1.4秒のマージンを築いた前方のマゼピンにターゲットを移す。

 14周目、先陣を切って角田の同僚ダルバラがピットイン、ソフトタイヤからハードタイヤに交換する。翌周にはシュワルツマン、16周目にはマゼピンもハードに交換し、持久戦の様相に変わっていく。

 マゼピンは暫定15番手でコースに復帰し、ステイアウトした角田は見た目上の首位となるも17周目にピットイン。角田はバトルを繰り広げるマゼピンとシュワルマンの前にコース復帰する形となった。

 しかしペースに勝る2台は18周目の1コーナーでマゼピンが、4コーナーでシュワルツマンが角田に仕掛ける。角田は後半を意識してか無理にポジションはキープせず、マゼピンが暫定11番手、以下シュワルツマン、角田、という順だ。

 21周目、ソフトスタートでロングランを敢行したドルゴヴィッチがタイヤを交換。これで見た目上の首位はハードタイヤスタートの周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、その4.5秒後方にシューマッハー、さらにアームストロングと続く。実質のトップを争う暫定7番手マゼピンは後方にシュワルツマン、角田を0.7秒間隔のワンパックにしながら周回を重ねていく。

 ハードスタート勢が慌ただしくなったのは28周目、周とマーカス・アームストロング(ARTグランプリ)がピットインしソフトタイヤへ交換。次の周にはルカ・ギオット(ハイテックGP)が、そして30周目には暫定首位を走行していたシューマッハーがピットインしタイヤ交換を完了させた。

 見た目上の首位に実質のトップ争いが戻ったのは31周目で、マゼピンを先頭に1.335秒後方にシュワルツマン、さらに0.7秒うしろに角田、以下ドルゴヴィッチ、アイロット、ダルバラというオーダーで後半戦に進んでいく。

 35周目、シューマッハーがマルケロフを抜いてポイント圏内の10番手に、次の周ではもう一つ順位を上げた。そして上位争いにも変動が起きる。36周目の4コーナー手前で角田がペースに陰りが見え始めていたシュワルツマンを抜き去り2番手に浮上。首位マゼピンとの差は1.869秒となった。

 シュワルツマンはドルゴヴィッチにも攻め立てられ39周目に4番手へ後退。マゼピン、角田、ドルゴヴィッチ、シュワルマンはそれぞれ1秒前後の間隔でレースは残り10周を切った。

 42周目、マゼピンと角田の距離が急激に縮まり両者は0.3秒に。角田は追い抜きの仕草を見せ、マゼピンは軽くブレーキをロックしタイヤスモークを上げる。

 そして44周目、ドルゴヴィッチを従えながら角田はマゼピンのトウを使って1コーナーのイン側に飛び込みマゼピンをパス。これで首位奪還を果たす。タイヤを使って角田の猛攻を死守していたマゼピンはドルゴヴィッチに抜かれてしまう。

 しかしマゼピンも意地でドルゴヴィッチに仕掛けなすも後方から迫ってきた周冠宇が2台を交わして2番手に浮上。46周目にはマゼピンは力尽きたかペースが落ち始め4番手に後退。しかし執念でマゼピンはドルゴヴィッチを順位を入れ替えながらファイナルラップへ突入する。

 タイヤ交換後にタイヤをセーブした角田が見事な走りでポール・トゥ・ウィンを達成。今季3勝目を飾った。2位に周冠宇、マゼピンは3位でフィニッシュするも、上述のとおりバトル中にライバルをコース外に押し出したとして5秒加算ペナルティを2度受けて後退。3位にはドルゴヴィッチが入っている。

 そしてクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)、ルイ・デレトラズ(チャロウズ・レーシング・システム)、周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)と角田に18点以上の差がついたため、角田のシーズン5位以上が確定。F1参戦に必要なスーパーライセンスポイントを獲得するためにレッドブル側から提示された最低条件をクリアしたことになる。

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