【新型コロナ】国内初、入院優先度「スコア」で判断 神奈川の新基準 7日開始

神奈川県庁

 新型コロナウイルスの感染者を年齢や基礎疾患などを基に点数化する県の新たな入院基準が、7日から県内全域で運用される。重症化しやすい患者を優先して入院させるため、共通の基準で優先度を判断する。国内初の取り組みで、県は逼迫(ひっぱく)する医療提供体制の維持を目指す。

 新基準では「入院優先度判断スコア」を設定。75歳以上は3点、65~74歳が2点、糖尿病などのハイリスク因子は1項目当たり1~2点、無症状はマイナス1点などと点数化し、患者急増期は合計5点以上を入院の目安に定めた。

 これまでの基準では、65歳以上や基礎疾患がある人を無症状や軽症でも入院させていた。新基準により、入院の必要がない場合は宿泊療養施設や自宅で療養してもらえるようにする。見直しに伴って療養者への健康観察も強化するという。

 県は11月27日に開催した医療関係者や学識経験者らでつくる県感染症対策協議会の会合で新基準について提案し、了承された。協議会での意見を踏まえ、「スコア」以外の判断基準として、療養が困難な家庭環境は入院させるなどの注意事項を加えた。

 基準を改めた背景にあるのは、病床利用の逼迫だ。11月以降の感染急拡大の影響で、今月3日現在では重症者向けの即応病床数91床に対し、重症者は61人で病床利用率は実質67.0%となった。中等症を含む病床全体でも、利用率は実質60.0%になっている。新たな基準上では、現在の入院者数の半数程度は入院の目安から外れるという。

 厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織の会合でも県の新基準が紹介されるなど、全国の都市部で病床が逼迫する中、運用の効果に注目が集まる。ただ、「スコア」に基づく判断で、本来入院が必要な人が見逃されないかの懸念もある。

 県の担当者は「スコアはあくまで目安で、患者を診る医師の判断が優先される」と強調。県医療危機対策統括官の阿南英明氏は「本当に入院が必要ない方を見直すもので、安全性ののりしろは大きくとっている。運用に関しては安心していただきたい」と話す。

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