エバンス「チームに対して申し訳ない気持ちでいっぱい」/WRC第7戦モンツァ デイ3後コメント

 イタリア北部のミラノ近郊で行われているWRC世界ラリー選手権第7戦モンツァは12月5日、競技3日目の走行が行われ、多くのアクシデントが発生するなかでセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が初日以来となる総合首位に浮上した。そんなWRCモンツァのデイ3を終えた各陣営からドライバーコメントが発表された。

■Mスポーツ・フォードWRT

●エサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)/デイ3総合3番手

「今日の午後は僕たちの思いどおりにはいかなかったし、正直なところすごく運が悪かったよ。最初のステージでの走行では、スノータイヤを履いていたが、ステージはキャンセルされてしまったんだ。中盤のステージでは、ドライだという情報があったので、スノータイヤを外した。そして最後のステージでの走行では、スノータイヤを履いたけれど、またステージがキャンセルされた」

「それでも自分たちのパフォーマンスに満足する必要がある。僕たちのタイヤ選択は優れていた。戦略が完璧でなかったとしてもね。それに森の中のターマックをまたドライブするのは本当に楽しめたよ」

「僕たちは表彰台からそう離れてはいない。でもこのレベルにおいて15秒はかなり大きなギャップだと認識している。もちろんコンディションはトリッキーになるだろうが、誰もがすでに何をすべきか、どのタイヤを選ぶべきか分かっている。僕が彼らに伝えたからね。まあやってみよう。僕はベストを尽くすよ」

●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)/リタイア

「一旦スピードに乗って自分たちのリズムを掴んだら、物事はかなりうまく進んだ。でも午後にはそれが変わってしまった」

「僕たちは強いグリップがあったのに、時速155kmでぬかるみのなかで純然たるアクアプレーニングを起こしてしまったんだ。そのスピードでのコンディション変化のなかでは、なす術がなかった……」

「ありがたいことに、僕もエリオット(・エドモンドソン/コドライバー)も無事だったが、チームには申し訳なく思っている。コンディションがあっという間に変わったので、僕にできることは何もなかったんだ。それでも今年懸命に作業をしてくれたMスポーツのスタッフのみんなに対しては本当に申し訳なく思っているんだ」

ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) 2020WRC第7戦モンツァ

■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT

●オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)/デイ3総合3番手

「午前中は思っていたよりも状況が楽に感じられた。各ステージは安定していたけれど、午後の走行ではまったく異なる状況になった。全体としては、信じられないくらい厳しいものになったよ」

「つねに理想的なタイヤを使えていたわけではなかった。なぜなら僕たちは雨のウエット寄りのコンディションを想定していたからなんだ。でもステージ中盤に差し掛かると、突然雪が積もっていた」

「それを自分たちで気づかなければならなかったから、楽な状況からは程遠かったね。だけど、僕たちはその状況を乗り越えた。明日の目標はこのラリーを順調にフィニッシュすることだ」

オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC) 2020WRC第7戦モンツァ

●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)/デイ3総合2番手

「またしても困難な1日だった。昨日のコンディションがすでにすごいものになっていたから、もっと悪くなることを予想していた。正直なところ、今日はかなり出来の悪いステージがひとつあって、タイムを少し失ってしまった」

「2回目の走行がスタートした時、僕の順位は良くなかったから、コンディションがさらに悪かったのだろう。しかし文句を言うことはできない。エルフィン(・エバンス)とスコット(・マーティン/コドライバー)がそのステージをリタイアしたのは残念だった。減速するように彼らが警告してくれたことに感謝しているよ」

「雪が積もったステージは本当にトリッキーだった。午後のステージ(SS12)を中止したのは正しい判断だったと思う」

「明日はマニュファクチャラーズタイトルを獲得することに集中する。安全にドライブするようにするよ。このようなコンディションではトラブルが起きやすい。全開で安全に進めれば一番いいんだけれどね!」

ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) 2020WRC第7戦モンツァ

■TOYOTA GAZOO Racing WRT

●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)/デイ3総合首位

「本当にトリッキーな1日だった。山岳ステージの最初のループは素晴らしく、山の頂上付近には少し雪があったが、路面コンディションは比較的安定していたので走りを楽しむことができたよ」

「しかし、午後になって雨量が増え、それが雪に変わると信じられないくらい難易度が上がり、正直なところ運転を楽しめるような状況ではなくなった。ただ生き延び、クルマを道の上に留めることしか考えられなかった」

「エルフィン(・エバンス)がコースオフしたところは、誰がそうなってもおかしくないようなコーナーで、グリップの変化は予測不能だった。自分が通過した時はエルフィンに同情したし、本当は最後まで彼と戦いたかった」

「そのほうがきっと楽しかったでしょうし、両選手権でチームのためにもなったはずだ。明日は7回目のタイトルを手にするチャンスがあり、それが自分の目標なのでしっかりやり遂げるつもりだけど、最後まで戦いは続くだろう」

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020WRC第7戦モンツァ

●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)/デイリタイア

「午後から本格的に雪が降り始め、非常に厳しいコンディションになった。午後最初のステージは途中まで順調に進んでいたが、その後ストップしてしまったんだ。2本目のステージでは途中まで非常に良い走りができていたのだけど、雪が降り始めたことで路面が変化する所が雪で隠れて見えず、足もとをすくわれてしまった」

「ペースノートにはその路面変化をちゃんと記していたのだけど、グリップレベルの変化は予想以上に大きく、次のコーナーまでに速度を落とすことができなかった。もちろん、このようなことになってしまい本当に残念だよ」

「それと同時に、マニュファクチャラー選手権を争っているチームに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。それでもドライバーズタイトル争いはまだ完全に終わったわけではない。希望の光は消えていないので、明日も戦い続ける。たとえ可能性が低くても、最後まで絶対に諦めないよ」

●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)/デイ3総合5番手

「トリッキーな1日だったが、自分たちだけでなく皆がそうだったはずだ。道には雪と解けかけた雪が多く、今までラリーカーで走ったなかでもっともトリッキーだと感じた場所がいくつもあった」

「今朝の最初のステージでは、解けかけた雪のセクションに差しかかった際ひとつのコーナーでミスをして土手に当たってしまった。クルマに大きなダメージはなかったのだけど、ドライビングが少し難しくなってしまった」

「午後の再走ステージは本当に難しく、降雪によって路面コンディションは一変した。最初のステージがキャンセルとなってしまったのは、自分たちは良いタイムで走れていただけに少し残念だったよ」

「それでも、こうしてすべてのステージを走り切り、今夜サービスに戻って来れたのは良かった。明日は、自分たちよりも上の順位のライバルとのタイム差は大きいので、何かが起らない限り追いつくのは難しいだろう。それでも、チームのためにできるだけ多くポイントを獲得したいと思う」

カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020WRC第7戦モンツァ

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