FA争奪戦がスタート 権利を行使した選手たちの魅力と不安要素は?

FA宣言した松永昂大、井納翔一、小川泰弘、梶谷隆幸(左上から時計回り)【写真:荒川祐史】

国内FA権を行使した松永、小川、梶谷は補償が必要となるBランク

今季のFA宣言選手が5日、NPBから公示された。今年、権利を行使したのは西武の増田達至投手、熊代聖人外野手、ロッテの松永昂大投手、澤村拓一投手、ヤクルトの小川泰弘投手、DeNAの梶谷隆幸外野手、井納翔一投手の7選手。このうち増田と熊代は宣言残留することが決まっている。

澤村は海外FA権を行使し、メジャーリーグ挑戦を目指すとされている。国内他球団への移籍を視野に入れて権利を行使したのは4選手。他球団との交渉は6日に解禁となり、今後、各球団での争奪戦が展開されることになる。

FAで他球団に移籍する際には、今季の年俸により補償が必要な場合がある。現所属球団の日本人の年俸上位3人に入る選手はAランク、4位から10位まではBランク、11位以下がCランクとされ、AランクとBランクの選手は補償対象選手になる。

Aランクは人的補償ありの場合はプロテクト外選手1人と年俸の0.5倍の金銭、人的補償なしの場合は年俸の0.8倍の金銭の補償が必要になる。Bランクの場合は同様に選手1人と年俸の0.4倍の金銭、または年俸の0.6倍の金銭の補償がいる。Cランクの場合は補償は不要だ。

今季の宣言選手では松永、小川、梶谷はそれぞれ補償が必要なBランク、井納だけが補償不要のCランクと見られる。では、4選手の今季の成績などから獲得によるメリット、デメリットを探ってみよう。

○松永昂大(7500万円、Bランク)
2020:5試合0勝0敗0セーブ3ホールド 0,00
通算:359試合16勝15敗1セーブ135ホールド 2.91

松永と言えば、なんと言っても“左キラー”としての価値が高い。今季こそ5試合の登板にとどまったものの、通算359試合に投げて135ホールドをマークしてきたリリーバー。まだ32歳と老け込む年でもなく、中継ぎ左腕の足りない球団にとっては戦力となり得そう。今季結果が出ていない点、補償が必要なBランクである点は気がかりか。

井納は4選手でただ1人Cランクだが、2桁勝利が2014年の1度だけ

○小川泰弘(9000万円、Bランク)
2020:20試合10勝8敗0セーブ0ホールド 4.61
通算:181試合75勝59敗0セーブ0ホールド 3.63

2013年にプロ入りし、いきなり16勝をマークして最多勝、最高勝率、新人王を手にした小川。その後も大きな故障離脱もなく8シーズンに渡って先発ローテで投げ続けてきた。今季は5年ぶりの2桁勝利となる10勝をマークした。ローテの一角として1年間投げられるところは、先発陣が手薄な球団にとっては魅力的。ただ、その一方で2年続けて防御率が4点台を超えており、被本塁打、失点は2年続けてリーグワースト。狭い神宮球場を本拠地としていることも要因の1つだが、この失点の多さをどう見るか。

○井納翔一(6100万円、Cランク)
2020:17試合6勝7敗0セーブ0ホールド 3.94
通算:168試合50勝60敗1セーブ10ホールド 3.94

小川と同じく2013年にプロ入りした井納。1年目から1軍で18試合に登板すると、2年目には11勝で初の2桁勝利をマークした。井納もプロ入りから8シーズン大きな離脱もなくチームに貢献。先発、中継ぎどちらもこなせ、投手層の薄いチームにはフィットしそう。ただ、2桁勝利は2014年の1度だけ。その後は5勝前後、防御率も3点台後半から4点台が続いており、エース級の働きは期待できないか。補償不要なCランクである点は魅力的。

○梶谷隆幸(7400万円、Bランク)
2020:109試合433打数140安19本53点 .323
通算:895試合3125打数840安119本397点 .269

今季リーグ2位の打率.323をマークした梶谷。本塁打も19本放っており長打力も備える。32歳となったが、今季も14盗塁をマークして走力も健在だ。ネックとなるのは故障の多さか。今季は1年間プレーを続けたが、昨季、一昨季と右肩の故障で41試合の出場に終わっている。1年を通して活躍し、打率3割以上を記録したのは今季が初めて。Bランクで補償が必要となる。(Full-Count編集部)

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