フィリーズがウィーラー放出を否定「ルースと交換でも放出しない」

フィリーズの今オフの補強戦略はいまだ不透明だが、昨オフに5年1億1800万ドルの大型契約で獲得した右腕ザック・ウィーラーを放出するつもりはないようだ。ジョン・ミドルトン・オーナーは「フィリーズは60試合制の短縮シーズンにより財政状況が厳しく、ウィーラーの放出に前向きである」との「ESPN」の報道に激怒。「もし他球団が対価としてベーブ・ルースを提示してきたとしても、私はウィーラーをトレードしない」とウィーラー放出の可能性を完全に否定した。

フィリーズは今季の損失が1億5000万ドルを上回り、先日80人の球団職員を解雇したことが報じられていた。財政状況が厳しいのは間違いなく、今オフの最優先事項であるJ・T・リアルミュートとの再契約にどれくらいの資金を費やせるかも定かではない。移籍1年目から実力を発揮したウィーラーをトレードで放出すれば、年俸総額を削減できるうえに若手有望株も獲得できると思われるが、ミドルトンにはその意思はないようだ。

ミドルトンは「ウィーラーのトレードについてどのチームとも交渉を行っていない」と明言。ルースだけでなく、テッド・ウィリアムスやマイク・シュミットが対価として提示されたとしても、ウィーラーの放出には応じないと断言した。ブライス・ハーパーと13年3億3000万ドルという巨額の長期契約を結んでいることもあり、チームを解体して再建に向かうことは全く考えてないと見られる。

すでに同地区の他球団は来季に向けての補強を進めている。ブレーブスは先発右腕チャーリー・モートンを1年1500万ドル、先発左腕ドリュー・スマイリーを1年1100万ドルで獲得し、メッツは救援右腕トレバー・メイと2年1550万ドルで契約。フィリーズは投手陣の補強が急務となっているが、これらの3投手の獲得には乗り出していなかったという。現在フィリーズはマット・クレンタック前GMに代わるフロントオフィスの新たなリーダーの人選を進めており、本格的に動き始めるのは新たなリーダーが決まってから、ということになりそうだ。

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