ロックダウン3週目 @オーストリア・ウィーン【12月4日】 新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ

▲カフェでは寒い季節になるとホットワインも登場する## カフェのテイクアウトを求める行列が街にあふれる

 ウィーンではコロナ第2波によるロックダウンが3週目に突入した。生活必需品の購入や通勤、家族の世話、犬の散歩、精神的および身体的に必要なレクリエーションを目的とする外出以外は禁止となっているが、一部の居住区ではそれら以外で出歩く人の姿を見かけることも多い。春先のロックダウンに比べ緊張感が薄れているのかもしれない。

 それでも、従来に比べれば人通りは少ない。特に観光地であるウィーン旧市街は閑散としている。高級ブランドのブティックや土産店などが集まるエリアは、観光客がいないため静けさを保っている。地下鉄を使用する人も少なくなった。新型コロナを警戒して自家用車やスクーター、自転車で移動する人が増えているようで、地下鉄の駅も人はまばらな状態だ。

 一方で、スーパーマーケットやドラッグストアなどの店舗は非常に込み合っている。生活必需品の購入を目的としているとはいえ、「こんなに混んでいて感染拡大防止につながるのか」と疑問を感じてしまうほど混雑している。また、宝くじや新聞、タバコの販売店も人が多い。今回の措置では宝くじなども生活必需品とされているため店舗も営業を認められているのだが、近所の葉巻店の外では多くの人が集まって葉巻を吸っていた。

 中でも特に混雑しているのが、パンやケーキの店だ。コーヒー類などのテイクアウトのために行列を作っている店も少なくない。小規模な店舗では店内の入場を1人に制限しているため行列が出来やすいとはいえ、気温が零下に及ぶこの時期にはあまり見られない光景だ。

 ウィーン市民がこうしたパンやケーキの店に並んでまで足を運ぶのは、カフェ文化が浸透しているためだ。ウィーンのカフェ文化はユネスコ無形文化遺産にも登録されており、市民の生活にはカフェが必要不可欠となっている。朝は朝食のため、昼間は仕事場や読書、社交場として、夜はバーとして、市民はカフェに足を運ぶ。この季節には、ウィーン市民にとってお馴染みの飲み物として、赤ワインをスパイスや果物で煮込んだホットワイン『グリューワイン』が売り出される。ロックダウンでカフェに行くことを禁じられたとはいえ、その習慣からカフェのテイクアウトを求めずにはいられないのかもしれない。

 オーストリア政府は来週からロックダウンの緩和を実施するとみられているが、いまだ詳細は発表されていない。だが、飲食店の営業再開は緩和の最終段階になると予想されるため、ウィーン市民のテイクアウト行列はまだ続きそうだ。

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