構想から3年 モネ「睡蓮」テーマのびょうぶ完成 日本画家・平松礼二さん

「これは写実的な描写です」と自作を解説する平松礼二さん=湯河原町民体育館

 鎌倉市在住の日本画家、平松礼二さん(79)が、画家モネの「睡蓮(すいれん)」をテーマにした全長90メートルに及ぶびょうぶを完成させた。来年の展覧会を前に7日、湯河原町民体育館(同町)で報道関係者らに披露した。

 30年ほど前にパリのオランジュリー美術館を初めて訪問し、モネによる全長91メートルの「睡蓮」の大装飾画に衝撃を受けた。以来、モネの庭を訪れるなどして、その生涯を追い、モネをはじめとする当時の画家たちが影響を受けたジャポニスムについて研究してきた。今回のびょうぶは、その研究の集大成だ。

 「睡蓮交響曲」と題した作品は14点のびょうぶからなる。高さはそれぞれ2メートルで、全てを並べると幅90メートルになる。睡蓮の浮かぶ池や風にそよぐ柳、チョウやカタツムリなどの小さな命が、華やかな色使いで生き生きと描かれている。抽象画のような大胆な描写や、モノクロームできりっと締めた画面もあり、多様な構成が見どころだ。

 構想から3年がかりで、制作中には、足を骨折して入院するなどのアクシデントにも見舞われた。

 会場を見回した平松さんは「よくやったなと思う。努力すれば夢はかなう。足かけ3年の意気込みを感じてもらえたらうれしい」と感慨深げだった。

 来年3月5日から、町立湯河原美術館(同町)で、2回に分けて展示する。新型コロナウイルスの収束を待って、フランスの美術館での展示も予定している。

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