次世代被害が出ていることを理解して 認定患者の子も認定を

カネミ油症被害者支援センター アンケート<5・終>

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カネミ油症の次世代被害者の調査資料に目を通す山本副大臣(右から3人目)=3日、厚労省(YSC提供)

 3日午後、厚生労働省の副大臣室。カネミ油症被害者支援センター(YSC)のメンバーらは山本博司副大臣に患者の子や孫49人分の調査資料を手渡し、こう伝えた。「今も次世代被害者は苦しんでいます」
 わずか15分の面会だったが、真剣な表情で資料を見つめる副大臣の姿に、YSC共同代表の大久保貞利(71)は手応えを感じていた。「うまくいけば、大きく変わるかもしれない」。政治に期待する最大のポイントは、認定制度の改正だ。
 原因物質ダイオキシン類に汚染された食用油を直接食べた親世代と、母親の胎盤や母乳を通じて暴露したとみられる次世代。影響の受け方は異なるのに、双方にダイオキシン類の血中濃度を重視する同じ診断基準が当てはめられており、特に次世代は認定されにくい。
 2012年成立の被害者救済法に基づく新制度「同居家族認定」では、血中濃度は問われず、油症事件当時に認定患者と同居していた家族は患者とみなす。YSCは、この血中濃度を根拠としない認定手法が運用されていることや、次世代に親と似た多数の病状が現れていることを踏まえ、血中濃度にとらわれることなく「認定患者の子は患者」と認めるよう求めている。
 面会から3日後、全国の被害者らをつないだオンライン集会が開かれた。YSCは次世代被害者の調査結果を報告。福岡市の油症2世で認定患者、三苫壮さん(44)は「自分の体に将来何が起こるのか、不安や危険性から逃れられない。(国は診断基準改定に)科学的な知見が必要だと言うが、苦しんでいる人を切り捨てる方便」と吐露。諫早市の油症2世で未認定の下田恵さん(31)は「政治家には次世代被害が出ていることを理解してもらい、今後の救済法(見直し)につなげてほしい」と求めた。
 YSCは調査の回答が49人にとどまったことなどから手法などが「完全ではない」とするが、国が実施してこなかった調査に着手し、次世代被害の一端を明らかにした意義は大きい。
 大久保は言う。「国は調査の欠点を突いてくるかもしれないが、次世代に多様な病状が現れている事実は示された。政治家や政策担当者は、この重みを受け止め、いかに前向きに動きだすかが試されている」