V長崎 J1参戦へ最終局面 2位と「2」差、最高の結末期待

6日の第39節山形戦、終盤に先制して喜ぶV長崎の選手たち。富樫(右)のヘディング弾がチームに勝ち点3と勢いをもたらした=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 サッカーJ2の3位V・ファーレン長崎が昇格争いを盛り上げている。一進一退ながら上位にじりじりと詰め寄り、崖っぷちで迎えた前節(第39節)も試合終盤の先制点で勝利をたぐり寄せた。この節は2位福岡が引き分けたため、残り3試合で勝ち点差は「2」まで接近。2018年以来のJ1参戦へ、勝負はいよいよ最終局面を迎える。

■勢いなら負けず
 J1で川崎Fの優勝が早々と決定し、コロナ禍の今季は降格もないため、サッカーファンの関心はJ1昇格争いに集中している。V長崎は6日のホーム戦で、リーグ中断後最多となる6833人を集客。クライマックスに向けて県民の注目度も高い。
 現時点で昇格の可能性があるのは、今季連敗なしの首位徳島、リーグ最少失点の2位福岡、そして終盤戦好調の3位V長崎。数字上は徳島が頭一つ抜けているが、第37節は3点リードから一時は追いつかれ、前節は敗れるなど強さに陰りも見え始めている。福岡は毎試合のように苦戦しながらも勝ち点を拾うしたたかさがあり、V長崎は攻撃面で豊富な選択肢を持つ点が強みだ。
 今季最後の「5連戦」となった直近5試合の戦績は、徳島が3勝2敗(勝ち点9)、福岡が1勝4分け(同7)、V長崎が3勝1分け1敗(同10)だった。3位V長崎が最も多くの勝ち点を積み上げており、いつ順位が入れ替わってもおかしくない緊張感がある。

■毎試合が“決勝”
 残り3試合に目を向けると、V長崎は次のアウェー東京V戦を乗り切れば、残り2戦は甲府、金沢をホームに迎える。重要な試合を本拠地サポーターの前で戦えることは好材料で、3戦とも1巡目に勝てていない相手ばかりが並ぶ点も、手倉森監督は「逆にいい準備につながる」とプラスに捉えている。
 最終節に福岡と徳島の直接対決を控えるが、それまでに徳島が優勝を決めていれば戦力を温存してくるケースも考えられる。V長崎としては、とにかく勝ち続けて昇格圏に浮上しておきたい。
 求められるのは、累積警告や負傷者の不安がある中でも出し惜しみせず、目の前の勝利に全力を注ぐメンタリティーだろう。勝利への執念が上位にプレッシャーを与え、チームにさらなる勢いをもたらすはずだ。
 数々の大舞台を知るベテラン玉田は「周りの雑音を気にせず、いかに自分たちのプレーに集中できるか」と仲間を鼓舞し、チーム最多の7ゴールを決めている富樫は「ここからは一つ一つが決勝。一つ一つを一緒に戦ってほしい」と強力な後押しを呼び掛ける。
 前例のない苦境に立ち向かい、一気に駆け抜けてきた2020年シーズンも最終章を迎える。12月20日、トラスタが笑顔であふれる最高の結末を期待したい。


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