後進の活躍に期待も自身の更なる活躍を誓う佐藤琢磨「常に限界に挑戦し続けないといけない」

 オフシーズンに入っても忙しく活動している佐藤琢磨。恒例のファンクラブミーティングを終えると鈴鹿サーキットへと向かった。

 JAF GPが行われている鈴鹿では、琢磨のインディ500優勝マシン2台が登場。

 2017年のアンドレッティ・オートスポートの26号車と、2020年のレイホール・レターマン・ラニガンの30号車はグランプリスクエアに並べられ、JAF GPを観戦に来たファンの注目の的になっていた。

 東京のホンダ本社に2台揃ってディスプレイされた後、2020年の優勝車は5日に行われた琢磨のファンクラブミーティングで披露された。その後、鈴鹿まで運ばれ再び2台が揃って並べられることになった。優勝マシンが年度を超えて2台揃うことはアメリカでも稀で、あらためて琢磨の偉業がうかがえる。

 当日はスーパーフォーミュラの決勝前にグランドスタンドで琢磨のトークショーも行われ、2台のマシンと琢磨が並んだ。ファンの前で2台の優勝マシンと琢磨が並ぶのは初めてのことだった。

 ピエール北川氏との掛け合いで軽快なトークが進んで行った。背景にはインディ500優勝時の映像がスクリーンに流されていった。

両手にはめたインディ500優勝リングを披露する佐藤琢磨

 琢磨は「こうして2台のマシンと鈴鹿に戻って来れるのは本当に光栄でありがたいことですね」と挨拶すると、ピエール北川氏に「グリコーポーズはどこに乗ってやったの?(笑)」と聞かれると、エアロスクリーンの上を指差しながら「ここですよ。ここ」と笑いながら答えグリコポーズの取り方を指南した。

 またベテランでインディカー最年長だったことも聞かれ「年齢はただの数字です。でも若いドライバーにもどんどん出て来てほしいと思ってるし、若い人が出てくるまで僕も頑張るつもり」

「ここSRSの生徒たちを指導させてもらってるけど、普段は本当にカワイイんですけど(笑)、走りはホンモノですからね。彼らにどんどん世界に羽ばたいて行ってほしい」

「昨日F2で角田裕毅選手がバーレーンで勝ちましたけど、彼もF1に行くとなったら頑張ってくれると思いますし、他の子たちも続いて欲しいですね」と後進の行方にも期待を寄せていた。

 トークショーの後は控え室からスーパーフォーミュラのリモート実況解説を担当。最終戦を場内のファンと一緒に見守った。琢磨はマシンの解説やレースの流れなどを読みながらわかり易い実況で場内のファンを楽しませた。

 琢磨はチェッカー後、優勝したナカジマレーシングの大湯都史樹選手をパルクフェルメで迎え初優勝の健闘を讃えた。

2020年のインディ500優勝マシンに加え、2017年に勝利した26号車も展示された

 レースを見終えて大急ぎで東京に戻った琢磨は、ホンダ本社に戻りPower of Teen シェア夢発表会の最終発表会に出席。大忙しの一日を終えた。

 12月7日にはスポーツニッポンが主催するスポニチフォーラム2020 「FOR ALL 2020」に出席。グランプリに選出されて表彰式にのぞんだ。琢磨がこの賞を受賞するのは2017年以来2度目。2017年の授賞式はボルグワーナートロフィーと一緒に登壇して出席者を驚かせていた。

 挨拶に立ったスポーツニッポン新聞社河野俊文社長は「佐藤さんには2017年に続いて2度目の受賞ということですが、コロナの影響でスポーツ界も厳しい状況の中で明るいニュースを届けていただきました」

「座右の銘とされている“No Attack, No Chance”は私も大変好きな言葉で、若い人と話す時にはよく使わせていただいてます。年齢は40歳を越えられていますが、まさに中年の星! 本当におめでとうございます」と挨拶。

 琢磨もそれに応え「中年の星、佐藤琢磨です(笑)」と自己紹介。

「多くのアスリートが活躍の場を失った一年でしたが、その中でレースをさせてもらえたのは幸せでした。レース開催に向けて尽力していただいた主催者、スポンサーの皆さんには感謝の言葉しかありません」

「この歳になりましたが、いまだに失敗もするし、失敗すると悔しい。しかし、守りに入ると結果も出ません。だから、常に限界に挑戦し続けないといけない。来季もベストシーズンにしたいし、インディ500の連覇を狙うのは僕にしかできないのでチャレンジしたいと思います」と来季に向けての意気込みを語った。

 最後の記念撮影では同じくグランプリを受賞したブラインドマラソンの道下美里選手とともに壇上に上がったが、カメラマンがいきなりのグルコポーズのリクエスト。これにはちょっと驚いた琢磨だったが、スーツ姿で見事にポーズを決めて表彰式の最後を締めくくった。

リクエストに応えグリコポーズを披露した佐藤琢磨

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