<金口木舌>CMに気付かせられる大事な問題

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 「口は災いのもと」「沈黙は金」など、日本にはあえて言わないことを善しとすることわざがある。沈黙は美徳なのか。9月のテニス全米オープンで、大坂なおみ選手が黒人差別に抗議をするマスクを連日着用した際に感じた▼スポンサーの大方の日本企業は、大坂選手の勇気ある行動を静観した。一部報道ではスポーツに社会問題を持ち込むことへの抵抗があったとみられる。一方、スポーツ用品大手のナイキ社は、ツイッターで差別反対の姿勢に賛同を表明し、評価を高めた

▼そのナイキ社のCM動画が今、話題となっている。アフリカ系外国人と日本人の親がいる子、在日韓国人と見られる子らが、いじめられたり白い目で見られたりする様子が映し出される。日本の差別問題に一石を投じた

▼動画の再生回数は1千万回を突破。少女らはサッカーに打ち込み、互いにつながり自信を付けていく。CMを称賛する声も多いが、一部ネット上で「差別を美化して商売利用している」などと批判的意見も

▼大坂選手は優勝インタビューでマスクに込めた意味を問われ答えた。「あなたはどんなメッセージを受け取りましたか。それがより大事な問題」

▼試合に臨むだけでなく、なぜマスクをするのか。商品を売るだけでなく、なぜCMで差別を取り上げるのか。勝利や利益と同じくらい「大事な問題」がそこにある。