パートナーの妊娠初期から、父親の親性脳の発達に大きな個人差 京都大学

京都大学と麻布大学の研究で、父親の親性脳はパートナーの妊娠期からゆっくりと発達が始まること、ただし、そこには大きな個人差が存在することがわかった。

現代の日本社会では、育児負担が母親一人に集中するケースが多くなっており、父親の育児参与が注目されている。これまでの研究で、育児に関する刺激に対しては脳内の「親性脳」と呼ばれる領域が活動することがわかっているが、父親の親性脳がいつから発達し、そこにどの程度の個人差が存在するのかは知られていなかった。

本研究では、パートナーが初産で妊娠中の男性36名(父親群)と、子を持つ予定のない男性36名(統制群)の計72名を対象に、育児に関する動画を視聴中の脳活動を測定するとともに、育児に関するホルモン値(テストステロン・オキシトシン)と心理・行動特徴を調べた。そして、それらと親性脳の活動パターンとの関連を検証および比較した。

結果、まず、両群ともに、育児に関する動画を視聴すると親性脳領域の活動が確認された。これは、子どもを実際にもつ(予定がある)か否かに関わらず、潜在的に親性に関わる脳機能が存在することを意味するが、一方で、父親群と統制群では島(とう)と呼ばれる一部の脳領域の活動に差異がみられ、父親になる予定がある男性の親性脳の発達はパートナーの妊娠中から既に始まっていることが示された。

また、親性脳の活動パターンには大きな個人差があり、その個人差は、「育児に対するイメージ」「一週間あたりの平均勤務時間」などの心理・行動特徴と関連することが判明した。他方、ホルモン値と親性脳の個人差には有意な関連が認められなかった。

本研究は、父親が親性を発達させていくプロセス解明の第一歩であり、今後、父親の個性に合わせて親性を育む「個別型の」支援方法の提案に寄与することが期待される。

論文情報:

【NeuroImage】Development of the Paternal Brain in Expectant Fathers During Early Pregnancy

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