“我慢”が成功のカギになる? 広島の浮沈を左右する新助っ人をデータから分析

広島と契約合意したケビン・クロン【写真:Getty Images】

野球一族が生んだ魅惑の大砲、昨季は3Aで82試合ながら38本塁打、OPS1.226

2020年のプロ野球もシーズンオフに入り、各球団が来季に向けての戦力編成を進めている。すでに来季の新外国人選手との契約が合意に達し、発表した球団もある。

それぞれの球団の浮沈を左右する新助っ人選手たち。では、それぞれどんな特徴を持った選手たちなのだろうか。米球界時代に残してきた成績、データを検証し、その特徴を探ってみたい。

今回は2019年にマイナーで39本塁打を放った魅惑の大砲、広島の新外国人選手であるケビン・クロン内野手を見ていこう。

家族は父親のクリス、兄のCJ、従兄弟のチャド・モーラーがメジャーリーガーという野球一族。自身も2014年ドラフト14巡目(全体420位)でダイヤモンドバックスから指名されると、2019年にはメジャーデビューを飾り、6本塁打をマークしている。そんなクロンの最大の長所はなんといっても195センチ、115キロの恵まれた体格から生み出される圧倒的なパワーだろう。

メジャーでの実績は2年間で47試合と少ないが、マイナーでの本塁打は2014年から12本(R、A-)→27本(A+)→26本(2A)→25本(2A)→22本(3A)→39本(R、3A)と着実にステップアップ。特に2019年は3Aで82試合の出場ながら38本塁打、打率.331、OPS(出塁率+長打率)1.226の好成績をマーク。この数字は楽天加入前のブラッシュと同程度の成績となっている。

速球には滅法強いが変化球には弱く、特にボール球に手を出す傾向が…

一方で、懸念材料となりそうなのはボール球に手を出す傾向があることだ。ストライクゾーンの外(outside)の投球に対し、打者がスイングした割合を示す「O-Swing%」はメジャー2年で42.8%。NPBでの平均は30%前後であることからも、ボール球に手を出しがちであることがわかるだろう。

また、球種別にみるとメジャー通算6本塁打のうち5本塁打がファストボール(フォーシーム、ツーシーム、カットボールなど)を捉えたもの。打率も.308と速球に滅法強い。反対にブレーキングボール(スライダー、カーブ、ナックルなど)には.087、オフスピードピッチ(スプリット、チェンジアップ、フォークなど)には.111と変化球には弱そうだ。

このデータから来日後は変化球を中心に、ボールゾーンへの配球が徹底されそう。ボール球に対して、スイングを“我慢”できるかどうか、が日本の野球に適応するカギとなるか。最初は適応に苦しむ可能性があるが、果たして起用する側も“我慢”できるかがポイントとなりそうだ。

守備は兄と同じく一塁。三塁と右翼での出場経験もあるが、経験は少なく一塁専門と考えたほうがよさそうだ。また、スプリントスピードも2019年にはメジャー平均を下回っており、走塁での貢献も期待薄。27歳とまだ若いことからも、売りとなる打撃面での更なる成長が求められるだろう。(Full-Count編集部)

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