ダルビッシュは「カブスにとって最高のトレード・ピース」

カブスは1年後のオフに主力選手の多くがフリーエージェントとなるため、今オフ中に複数の主力選手をトレードで放出してチーム再建へと舵を切る可能性が取り沙汰されている。クリス・ブライアントやハビアー・バイエズの名前がトレード候補として挙げられるなか、「最高のトレード・ピース」と言われているのがダルビッシュ有だ。現在34歳のダルビッシュはカブスと3年5900万ドル分の契約を残しているが、今オフ中にトレードが実現する可能性はあるのだろうか。

カブスは2016年に108年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げ、ブライアント、バイエズ、アンソニー・リゾー、カイル・シュワーバー、ウィルソン・コントレラスらを中心としたチームで黄金期を迎えると予想されていた。ところが、それ以降は1度もワールドシリーズへ進出できず、今季もワイルドカード・シリーズで敗退。期待されたほどの成績を残せないままチームは転換期を迎え、セオ・エプスタイン編成本部長はチームを去った。

たとえば、ブライアントを放出してチームの穴を補える安価な選手を2人ほど獲得し、今季と同様のロースターで来季もポストシーズン進出を目指すことは可能である。しかし、それでは来季以降のチームが抱える問題を解決することにはならない。2021年シーズン終了後にはリゾー、バイエズ、ブライアントが同時にフリーエージェントを迎えるが、彼らのあとを担うような若手有望株は見当たらず、一歩間違えれば暗黒期に突入しかねない状況なのだ。

とはいえ、リゾー、バイエズ、ブライアントはいずれも今季不本意な成績に終わっており、保有期間があと1年ということを考えても、それほど大きな対価は得られないだろう。チームの将来を担う逸材を手に入れるという点において、ダルビッシュほど魅力的なトレード要員は他にいないのだ。サイ・ヤング賞投票で2位にランクインする好成績を残したことや移籍市場にエース級の投手がほとんどいないことを考えると、今オフはカブスにとってダルビッシュを放出する絶好のタイミングだと言える。

メジャーリーグ公式サイトのトーマス・ハリガンは「カブスはダルビッシュをトレードすることで若手有望株を獲得するだけでなく、年俸総額を大幅に削減することができる」と指摘する。もちろん、ダルビッシュの年俸分を他の補強ポイントに充てることも可能だ。チーム状況を考えれば、ダルビッシュを放出することがベストの選択肢のように思われるが、カブスはどんな決断をするのだろうか。

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